一
「――キキッ!」
駆け、和可はキキを抱きしめた。
「和可様、血で汚れます」
「いいよ……キキ、助けてくれてありがとう」
「……いえ」
小さく首を振り、キキは僅かに瞼を落とした。
「…………」
考えねばならぬことは山ほどあるが――
(まずは、皆が無事だったことを喜ぼう)
咲久夜は苦笑し、キキに向かって歩き出す。
それぞれが……いや、一人須佐を除けて、自然とキキの元へと集まっていた。
「よく無事でした、キキ、和可」
二人を包むように抱きしめ照灯は微笑み。
「そうだな、よく頑張った……というより、これはキキから戦い方を教えて貰わないといけないな」
那都は、くしゃくしゃとキキの頭を撫で笑う。
「……疲れた」
ぐったりとしながらも宇加は笑顔を向け。
「ああ、確かに疲れたな」
いつのまにか、皆笑っている――咲久夜もまた微笑み、空を仰いだ。
「もうすぐ夜明けか、少し休んでから戻ろう」
――――――――――
「ほら、キキ」
「あの……照灯様、和可様、わたしは一人でできます」
「駄目です。ほら、ここにもまだ血が付いています」
「……まったくあやつらは」
困りながらも照灯と和可のされるがままになっているキキの姿に咲久夜は笑う。
川の近くで休むことにしたのは、一番は血塗れになっているキキを綺麗にするためだった。
もちろんキキ自身もこのままの姿ではいけないとは思っていたのだが、戦いが終わってから片時も離れない照灯と和可に装束を脱がされ、布で洗われ……キキの言葉も虚しく聞き入れられず、なすがままにされていた。
あれでは逆に気が休まらないだろうよ……そう、心では思いつつも。
「まあ、心配かけた罰だ。我慢しろ、キキ」
「…………」
助けを求め視線を向けてくるキキへと無慈悲に咲久夜は伝えた。




