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戦狂のキキ  作者: shio
第三章
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三十五


「貴様……鬼を弔ったというのか」


 須佐から向けられる言葉と瞳……憎悪の籠もったそれに、キキは振り返り、そして、小さく頷いた。


「……はい、死ねば骸、捨て置くのは忍びないと思い」

「鬼はかたきだ。貴様はどれだけ多くの人間が食い殺されたか知っているのか」

「知っています」

「ならば何故、骸を埋めた!」


 ――わたしは、親に殺されました。


 と、それは伝えることなく、キキは別のことを伝えた。


「須佐様。わたしは、親に捨てられました……ですが、親を恨んではいません」


 キキの瞳は言葉はどこまでも澄み……偽りなく真っ直ぐに続けた。


「人がいくら殺されたとしても、わたしは恨みで戦うことはありません。自分の意思で戦い、命を奪います。命の業は全て自分で背負います」


 そして、キキは微笑んだ。


「咲久夜様達が殺されたのなら、少し心が動くかもしれませんが……それでも、戦うは自分の為です」

「キキ……」


 言葉に咲久夜は思わず苦笑した。それと共に、知らず重くなっていた心も晴れていく。


「キキの事を知れたのは良いが……男よ」


 咲久夜とは反し、女は重く――どこまでも重く、冷たく呟いた。


「キキと話しているのは我だ、人間が邪魔するな」


 ――  ――


 その刹那、無音で何かが一帯を支配した。


 その圧に和可と宇加は膝を折り、地に手を付いた。身体の内側から来る震えとのし掛かる冷たく重い空気。意識を保っているのがやっと……

 神楽をすでに成している照灯と那都でさえ動けなくなっていた。


「――――っ」


 奥歯を噛みしめ、だけれど、神の力の一端でさえ纏っていない須佐では抗するのは難しく。

 太刀を地に刺し、倒れ伏しそうになる身体を何とか押し止める。


「ふっ――」


 圧はあるが動けぬほどではない――咲久夜は鋭く息を吐いた。後ろを見たわけでは無い。女から目を離すわけにはいかない。

 だが、みなが動けなくなっていることは分かっていた。そして、次に雷を撃たれれば避けることはできない。


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