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戦狂のキキ  作者: shio
第三章
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三十四


「ふふ、戯れにはよかろう」


 ――ガゥンッ!!


 閃光と轟音。

 白光が走った瞬間、衝撃が周囲を襲った。


「――――っ」


 咲久夜は顔の前に腕を上げ、衝撃を受けながらも視線を鋭くする。

 全てが吹き飛ばされた……火の粉の全てが。

 何が起こったかは分かっていた。驚きもある、が、何よりその力に奥歯を噛みしめる。


いかづちか……鬼が術を使うか」

みょうなことはなかろう。怪士あやかしは森羅とより近くに居る。陰陽師よりも余程近く」


 だから、自分は陰陽師よりも強いというのか……

 拳を握り……けれど、咲久夜はふぅと再び息を吐いた。


(父上や母上が敗れたのだ……わしが敵うはずなど)


 そう、キキと話してから考えていたことだった。自分よりも強い敵が居ることは想像していたことだ。

 恨みや怒りに我を忘れることはしない。それは嘆きや諦めではない。敵わないからこその戦いをしなければならない。勝つために……それを確認する。


「…………」


 女は咲久夜の顔をどう見たのか。ただ、微笑んだ。


「咲久夜様っ!」


 声が響き、照灯と那都、そして、須佐が木々から飛び出した。


「……わしに任せろと言ったはずだが」


 視線は女に向けたまま、咲久夜は後ろにいる照灯達に向かって静かに口を開く。


「しかし……!」

「人間がわらわらと……」


 尚、声を上げる照灯に女はわずらわしいように呟きスッと手を上げた――が、


「…………」


 いつの間に動いたのか、キキが女と咲久夜の間に立ち塞がった。


「……キキ」

「キキ」


 咲久夜と女が、それぞれの内の想いと共に同じ名を呼んだ。咲久夜は重く、女は軽やかに。


「ふふ、我と対するか。だが、それは困る。我はお前を傷つけたくは無い」


 血濡れの装束、血を浴びた肌、折れた小太刀を握りこちらを真っ直ぐに見つめる瞳。

 幼子の姿だからこそか、より鮮やかで艶やかに見え――


「キキ……鬼を哀れみ弔う幼き子よ。参れ」


 女は手を伸ばした。抱きしめ、胸の内にとどめ置きたい衝動に駆られる。

 だが、


「……鬼を弔うだと……」

「…………」


 再び出された口に、女は静かに視線を向けた。


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