表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦狂のキキ  作者: shio
第三章
63/461

三十三


「――陰陽師か」


 鬼人の女はつまらなそうに呟き、咲久夜へと視線を向ける。


「驚いた。言葉を喋り、人と変わらぬ鬼が居るとは」


 呟き、咲久夜もまた女を見つめた。

 知性があるだけではない。装束を纏い、紅まで刺し……それは、人と同じ感覚を持っているということ。だからこそ確信もする。この者が――いや、おそらく一人ではあるまい。『この者達』が父や母を殺した。

 ふぅ、と息を吐く。恨みを持つことはない、だが、怒りは持つ。


「一つ聞く。京を滅ぼしたのはお前か」


 瞳を朱に変え、咲久夜は再び口を開く。


「京の人間はどうした」


 女はつまらなそうに……それは本当につまらなそうに。

 応えたくもないように一拍の間を空け……けれど、キキの視線にも気付き、ふっと息を付く。


「半分は鬼が喰らった」

「――――」


 刹那、炎が浮かび――だが、


「咲久夜様」


 凜と透き通った声が響いた。


「戦うのはわたしです」

「…………キキ」


 幼子の純粋な瞳に咲久夜は肩の力を抜いた。


「ふふ……さすが、我が妹子」


 すでに我が物のような、そのような女の言葉。別にこちらを意識して言ったわけではない、それは分かっていた。だが、


「キキ、すまぬ」


 キキまで奪われるわけにはいかぬ――キキが鬼人に付いていくことはないと分かっていても、咲久夜は自らの我を通した。


 ――家族を奪われるわけにはいかぬ。


「ほう……」


 女はゆっくりと空を仰いだ。

 再び火の粉が舞い落ちていた。雪のようにはらはらと深々と――

 それは闇夜に更に輝き、瞬く。


「優雅なもの……けれど」


 舞い落ちた火の粉に装束が焼け落ちた。このままじっと立っていれば火の雪を被り、全身を焼かれるだろう。


「この衣は気に入っている。焼かれるのは困る」

「殺しはせぬ。お前には話して貰わねばならぬことが数ある」

「何を言う陰陽師……いや、咲耶さくやを纏う者よ。お前が言った通りだ、京を滅ぼしたのは誰か」


 女は軽く手を上げ、微笑んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ