二十九
「ガァアアアアアッッ!!」
鬼の爪を躱し腕を蹴り首に刃を突き立てる。深くは刺せない、その時もない。だからこそ。
「――ぁあああああああっっ!!」
キキは咆吼し、浅く刺さった刃で肉を斬り破いた。血が噴き出し白の装束を染めていくが、キキはそのまま刃を振り抜き身体を蹴り飛び上がる。
血の雨の中、迫るもう一体の鬼の顔に向かい上段で小太刀を下ろし、たじろいだ隙に顎下へと刃を突き上げた。
ザクリと刺さる切っ先。そのまま腹を蹴り、身体を回転させ刃を振り抜き、肉を裂き首を刈りとる――後、二体。
「オオオォオォオオッッ!!」
血を浴びすぎたせいか身体が重い。それでも、キキは駆け飛び上がった。
鬼の腕を避け後ろに回り、背中を蹴って飛び上がる。鬼兵も近づいている、時はあまりない。だからこそ、キキは小太刀の鍔に足をかけ首に刃を突き刺し、そのまま頭を蹴り飛び上がった。
小太刀が刺さったまま鬼が倒れると同時に、キキも地に降り立つ。残り一体と、鬼の兵。
「オォォォァアアアアアッッ!!」
鬼兵の太刀をたんったんっと後ろに退くことで避け、キキはふっと息を付いた。
こちらは折れた小太刀一本……この状況でも護刀を使う気は起きず、そのまま折れた刀を抜く。
尺が短くはなったが、切っ先が新しくなったと思えば折れた刀でも斬れるはず――そう考える。後は自身に斬れる技があるかどうか。
連続で打ち込んでくる鬼兵の太刀を流し躱し、キキはこちらへと向かってきたもう一体の鬼へと一気に踏み込んだ。
身体は重いが、速さで斬るわけじゃない。全てはたんっという一振り。迷わず、只一心に無心に刀を振り抜く――キキ自身、純粋にそう信じて。
振り下ろされる鬼の爪よりも速くキキは懐へ入る。腕の振り下ろしと共に身体はキキに近づき――その時には折れた小太刀の先が顎下の首に当てられていた。




