二十八
「――――」
声もなく命を落とし、前へと倒れた鬼の首から小太刀を抜く――が、違和感にキキは視線を鋭くした。
刺すには力がいるとはいえ、自身が思っている以上に力と体力を使っているようだった。最初に比べて、時間が掛かり過ぎている。
刃の血を拭い、そして、キキは小太刀を振り抜いた。
「赤子ォォオオオオオオッッ!!」
ギキィンッ!!
飛びかかり振り下ろす鬼兵の太刀を捌き……だが、すぐに後悔した。受ければ刃が欠けてしまう。咄嗟に避けて切り返すという判断ができなかった。
けれど、
キィンッ! キキィンッ!!
足を止め、続く太刀を流し捌いてしまっていた。意識より先に動いていた身体が、考えて動くようになっている。斬る技もそうだが、思考さえも鈍くなっていた。
たんっと退き、一瞬だけ息を吐く。だからといって、焦っても詮無きこと。元より斬るのは無心。戦いに定めることだ。
もう一段、もっともっと上へ――
ザッ――!
キキは再び駆け出した。鬼兵の太刀を掻い潜り、通り抜け様に腕を切りつけそのまま過ぎていく。
鬼兵を除き後は五体。木々を抜け、すでにこちらに気付いている鬼一体の腕を掻い潜り、後ろに回り込み幹を蹴り飛び上がった。
首に刃を突き刺す……が、
「ガァァァアアッッ!!」
深く刺すより前に鬼が暴れ出した。一気に貫くことが出来なければ痛みに暴れるのは当然のこと。
キキは奥歯を噛みしめ――それは未熟さ故に鬼に痛みを与えていることへの自身への苛立ちでもあったが――腕に力を込め、尚刃を突き立てる。
「グォオ――――」
――キン
鬼の声が無くなるのと同時に、小太刀も折れ。
ごめんなさい……と心で謝りながら折れた小太刀を納め、振り返りと共にもう一本の小太刀を抜き放った。
「オォォオオオオオオッッ!!!」
雄叫びが木霊する。恐怖が重なりすぎたのだろう、怯えよりも殺意が勝り、鬼が一斉にキキへと襲いかかった。
対するは小さな幼子一人。キキは刀を握り鬼に向かい地を蹴り上げた。




