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戦狂のキキ  作者: shio
第三章
54/461

二十四


 浅く刺しても鬼は死なない。深く刺さないといけないが、鬼一体一体に動きを止められていてはいつか捕まる。更に、突き刺すにはある程度の力、いや、重さが必要だった。


(ならば)


 目の前に迫る鬼に身体は自然と動いていた。たん、たんと後ろに下がり、誘うようにキキは笑った。


「グァアアアアアッッ!!」


 鬼は覆い被さるように両の手を上げ、キキへと飛びかかった。

 鬼の腕に巻かれ葉が舞い上がる。その時にはキキの姿は宙にあり、鬼の肩を蹴り尚高く飛び上がった。

 小太刀の刃が月に光り、かしらに両手を添え、鍔に左足を乗せ――葉が揺れる中、キキは一気に鬼の首の後ろへと切っ先を突き下ろす。


「――――」


 ぐっと左足に力を入れ、刃を深く刺し――鬼の身体はそのまま固まり、叫ぶこともなく絶命した。

 両手で柄を握り、右足で鬼の身体を蹴り上げ、弧を描く血の飛沫と共に小太刀を抜く。けれど、血の雨はキキの衣を曇らすことは至らず。

 キキはすでに駆けていた。突き刺すにはときが要る。だからこそ距離を取り鬼を誘った、次の鬼が近づかないように。

 そして、一体が倒れた今、次の鬼は目の前まで迫っている。次、次と鬼の位置を考えていかなければ上手く殺してはいけない。


 ――ヒュ


 と鋭く息を吸う。

 鬼に攻撃させる為に、懐に入り一拍の間を空ける。攻撃後のほうが力が抜け突き刺し易くなる。鬼が腕を振り上げ、振り下ろし始めと同時にキキは鬼の後ろに回り、背を登り肩を蹴っていた。

 狙うは腕の振り下ろしが終わった瞬間、力が抜ける一瞬。

 全ては刹那――鬼は振り下ろした腕と共に、身体が前へと揺れた。倒れた鬼の首から小太刀を抜き、キキは次の鬼へと視線を向ける。

 あと一体か二体は突きで殺したい。腕で刃を挟み血を拭う。


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