二十四
浅く刺しても鬼は死なない。深く刺さないといけないが、鬼一体一体に動きを止められていてはいつか捕まる。更に、突き刺すにはある程度の力、いや、重さが必要だった。
(ならば)
目の前に迫る鬼に身体は自然と動いていた。たん、たんと後ろに下がり、誘うようにキキは笑った。
「グァアアアアアッッ!!」
鬼は覆い被さるように両の手を上げ、キキへと飛びかかった。
鬼の腕に巻かれ葉が舞い上がる。その時にはキキの姿は宙にあり、鬼の肩を蹴り尚高く飛び上がった。
小太刀の刃が月に光り、頭に両手を添え、鍔に左足を乗せ――葉が揺れる中、キキは一気に鬼の首の後ろへと切っ先を突き下ろす。
「――――」
ぐっと左足に力を入れ、刃を深く刺し――鬼の身体はそのまま固まり、叫ぶこともなく絶命した。
両手で柄を握り、右足で鬼の身体を蹴り上げ、弧を描く血の飛沫と共に小太刀を抜く。けれど、血の雨はキキの衣を曇らすことは至らず。
キキはすでに駆けていた。突き刺すには時が要る。だからこそ距離を取り鬼を誘った、次の鬼が近づかないように。
そして、一体が倒れた今、次の鬼は目の前まで迫っている。次、次と鬼の位置を考えていかなければ上手く殺してはいけない。
――ヒュ
と鋭く息を吸う。
鬼に攻撃させる為に、懐に入り一拍の間を空ける。攻撃後のほうが力が抜け突き刺し易くなる。鬼が腕を振り上げ、振り下ろし始めと同時にキキは鬼の後ろに回り、背を登り肩を蹴っていた。
狙うは腕の振り下ろしが終わった瞬間、力が抜ける一瞬。
全ては刹那――鬼は振り下ろした腕と共に、身体が前へと揺れた。倒れた鬼の首から小太刀を抜き、キキは次の鬼へと視線を向ける。
あと一体か二体は突きで殺したい。腕で刃を挟み血を拭う。




