二十三
鬼が振り返る一瞬の間、けれど、キキには十分な時間。
――ザンッ
音を立てて首の肉が裂ける。血を噴き出し、鬼は絶叫して暴れ出した。
刃に肉が引っかかる感触……放っておけば死ぬだろうが、キキは心の中で(ごめんね)と謝った。
上手く斬ることができれば、肉の感触など感じずに颯と斬れる。鬼も血を噴き出すが、暴れることなくそのまま倒れていた。
六体目で小太刀の切れ味が悪くなるのは予想通りではあったが……けれど、ずっと考えていたことではあった。刀の切れ味が悪くなるのは、自分の斬り方が悪いからではないかと。
無論、刀自体も名刀と言われる代物ではないことは分かっている。それでも、斬り方さえ正しければ鬼の十体、二十体は斬れるのではないか。
「――――」
などと、今考えても詮無いこと。キキは、小太刀を振り血を落とすと腕に挟み拭った。鬼も肉である以上、刀に油が付くのは仕様がない。これで斬れるようになるわけではないが、多少は良くなるだろう。
鬼はまだ十体以上居る。小太刀一本であと二体か三体は倒しておきたかった。
暴れのたうち回る鬼にもう一度心で謝してから、後ろから迫る鬼の懐に入り刀を振り抜いた。
ガッ――
鈍い音が響き、鬼が捕まえようとする前に身体を回転させ懐から抜け出し背に回った。二撃、三撃と刀を振る――が、やはり斬れはしなかった。元より斬ろうと思っていたわけではない。切れ味を確かめたかっただけだ。
斬れないことは分かった。ならば、突くしかない――突き殺す時に間が止まってしまう為、あまり好きなやり方ではないのだが仕方がない。
「――――」
鬼が振り返る前に距離を取り、ふっと息を吐いた。今居る鬼は三体。だが、奥から四体来ている。そして、その後ろにも六……七体ほど。




