二十二
(――斬る)
斬り続けなければ斬ることは分からない。斬り続けなければならない、斬れるまで。
何度でも何度でも――
ザッ――
キキは駆け出した。小さい身体、そして、疾風のようなキキの動きに鬼は付いていけず。
爪で幼い少女の肉を裂こうとしても、腕を振り上げた時にはキキの姿はもうそこにはなく――けれど。
ガンッ、ガガッ――
二連、三連。
斬り上げ、撃ち下ろし、身体を回転させ、もう一度斬り下ろす。が、それでも斬れない。
地に足を滑らせ、駆け、飛び上がり、舞うようにキキは動き刀を振る。
(まだ、まだ――)
手の振りだけで斬っている。懐に入り、踏み込んで斬らなければ。
懐に入ればそれだけ危険が増すが、紙一重で躱すことも覚えなければ先はない。更に、少しも傷つけられてはならない。
ぞくり、と血が沸き立った。
(楽しい)
キキは微笑む。面白い、こんなに生きている感じを得られるのは戦いの中でしかない。
振り下ろされる腕を紙一重で躱し、開いた首に刀を撃ち下ろす……いや、自分の背では地に足をつけたままでは刀は届かない。
ならば、鬼の身体を使うしかない。
ヒュ――と鋭く息を吸い、振り下ろされた鬼の腕に向かって左足を踏み込む。如何に小さい身体でも全体重を腕一本にかければ身体も、そして、首も下がる。
踏み込んだ左足、その勢いのまま刀も振り下ろす。
ザンッ!
一閃――血が弧を描き宙に舞い、けれど。
その時にはキキの姿は最早なく、鬼は血と共に地へと落ちていた。
「グァアアアアアッッ!!」
鬼が咆吼した。斬られていく同胞を見て怒りと憎悪を持ったのか――そして、それは鬼にも感情があるということだが。
ともあれ、周りから一斉に動き出す鬼を待つことなく、キキは近くの鬼へと駆け出した。
鬼がこちらの思う通りに腕を振り下ろして来るとは限らない。横から薙いでくる爪を飛んで躱し、首へ一撃、身体を回転させての二連で血を噴き出させ。
後ろから迫っていた鬼の腕には地を滑り後ろへと回り、背中を足場に飛び上がり、後転しつつ迫ってきていたもう一体の鬼の頭上を越える。




