表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦狂のキキ  作者: shio
第三章
51/461

二十一


 元より剣術などを習っていたわけではない。武家に居た時でも幼い童女に訓練などさせて貰えなかった。

 キキの戦いは全て自己流だった。如何にすれば幼い我が身で鬼を斬れるか、殺せるか、それしか考えていない。


 ――ザンッ


 鬼の腕を掻い潜り、首筋に切っ先を当て振り抜く――が、やはり斬れてはいない。

 技を磨くとは自分で考えたことだが、剣術が分からない以上、どうすることもできない。


「グォオオオオッ!」


 後ろから襲ってくる鬼を躱し、キキはトンッと距離を置いた。

 ふぅ……と大きく息を吐く。鬼の攻撃は見えているし躱すのは造作ない。後は、自分が如何に斬るか。


「――――」


 もう一度、息を吐き、そして、息を止め、鬼を見つめた。

 剣術……『すべ』が分からない以上、考えても無駄だった。であれば、初心に戻るしかない。

 すなわち、剣で石を斬る。一念といってもよく分からないが、つまりは斬ることだけを考えるのだろう。


(――斬る)


 斬ることに力は要らない。感情も要らない。無心で斬る――それが成せる己を信じる他なかった。

 小太刀を両手で握り構える。息は止めたまま、向かってくる鬼の動きに自らも合わせる。

 振り下ろされる鬼の右腕を避け、飛び上がり首へと小太刀を一閃させた――けれど、それでも斬れず。


 だが、


 ガンッ!


 キキは刀を振った勢いのまま回転し、そして、鬼の肩を蹴り上げ飛び上がった。

 一撃で駄目なら、二連――落ちる力も利用し上段の刀で先程斬った箇所にもう一度刃を振り下ろす。


 ――ィィィン


 刹那、風を斬ったような澄んだ音が響き渡った。


 地に降り、タンッと距離を開けキキは鬼へと視線を向ける。

 鬼は、一歩、二歩と後ろに下がり――やがて、首から血を噴き出させて倒れた。


「――――」


 ふぅ、と大きく息を吐く。


(まだ……まだ)


 二撃では駄目なのだ。一撃でなければ、これ以上強い鬼……いや、鬼だけではなく自らの『敵』が出てきた時、恐らく勝てない。

 周りへと視線を向ける。鬼は同胞が斬られた事が分かっているのか、様子を見るように低い唸りを上げながらゆっくりと近づいてきていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ