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戦狂のキキ  作者: shio
第三章
48/461

十八


「――ガァアアアアァアアッ!!」


 鬼は叫びキキに再び飛びかかった。その内に鬼は二体、三体となり――


 ザァァァァァ――――


 激しい葉の音が響く中、キキはひらりひらりと宙を舞う花弁のように木々を飛び渡り。


 ――タンッ


 何本目かも分からない木が倒れたと同時に大きく飛び上がり、鬼の頭上から首に向かって小太刀を振り下ろした。


「――――」


 手応えの違和感は気にせず、そのまま駆け出し一閃、二閃とこちらへと向かってくる鬼の首を斬り払った。

 ザザッと地を滑り身体を回転させて止まらせ、通り過ぎた鬼へと視線を上げた。

 鬼が木を倒してくれたお陰で視界が開け動きやすくなった――けれど。


(硬い――)


 斬り方を間違えたか――否、自身の技を過信しているわけではないが感覚は同じだった。間違えてはいないはずだ。

 では、鬼が強くなったのか――いや、そうも感じない。


(……成程)


 こちらへと振り返り唸る鬼を見てキキは内で頷いた。一回り大きく見える鬼……成程、鬼が強くなった、というのは当たりではないが間違いではない。

 今まで自分が鬼を倒してきたのは――殺してきたのは全て不意打ちだった。死角から急所への一撃、それで全て殺してきた。

 和可と宇加を追っていた鬼も獲物を狙っていただけ、戦うという意識はなかったはずだ。だが、今は違う。鬼は戦う気を持っている。身体に気を入れているのだ。


(それで、益々身体が硬くなった)


 今まで通りではいけない。もう一段、二段――いや、もっともっと強くならないといけない。技を磨かないといけない。


「――ははっ」


 キキは無意識に笑っていた。

 成程、面白い。如何にすれば一太刀で斬れるか。仕留められるか。

 しかも、実戦で学べる。更に、少しも傷つけられてはならない。

 こんなに面白いことがあろうか。


「――――」


 キキの微笑みをどう見たのか――何故か鬼が唸りを止め、一歩退く。


「……逃げないで」


 まるで愛しい人を呼ぶようにキキは口を開いた。


「殺しに来て、鬼さん」


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