十七
――和可と宇加の居場所を見つけられたのは偶然ではない。神気の感覚を知るキキだからこそ後を追うことができた。
『わざと追いつかないようにしていた』のだが、そうしたことに少し後悔もしていた。これも神から与えられた戦う力故か、仲間の危機を察知することができなかったら二人は死んでいたかもしれない。
それに、戦うのは自分。先陣を任され、一人で戦って良いとそう約束した。ならば、戦い初めは自分でなければならない。それは、誰にも譲らない。
――ザン
和可と宇加に近づこうとしていた鬼二体の背に回り首を斬る。
気配を探る。が、あまりに静かに殺したせいか、今だ鬼は和可と宇加の元へと行こうとしていた。
「…………」
二、四……五体、六体。後は、まだ奥に十体以上居る。
キキは駆け出した。わざと足音を響かせ、鬼の目の前を横切っていく。
「ォオオオオオオォオオッ!」
キキを見つけた鬼が雄叫びを上げた。
雄叫びは次々と響いていき、奥に居る以外の全ての鬼の目の前を駆け抜けてから、和可達から離れた場所でキキは立ち止まった。
周りから近づいてくる唸りと黒い巨躯――
納めていた刀を抜く……鬼の数を考え小太刀は二本貰っていた。そして、咲久夜から譲り受けた護刀。
これも貰った力のお陰か重さは気にならないが、幼い身体での刀三本は動きの妨げにはなっていた。
「…………」
しかも、開けた場所がない森の中。いつもなら見通しの悪い場所での戦いはキキの望むところではあったが、今はもう鬼に見つかっている。隠れながら戦うのは難しいだろう。
(――ならば)
タンッ――と木の上に登った。一番近くに来ていた鬼に見つかるように枝に立ち、そして、拾っていた小石を投げつける。
「グォオオオオオオッ!!」
鬼は怒り飛びかかった。太い手を振り回し枝を払い、その勢いのままキキの居た木さえも折り倒す。
葉が舞い落ちる中でキキの姿はそこにはなく、トンッと別の木の上へと降り立っていた。




