表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦狂のキキ  作者: shio
第三章
46/461

十六


 紙のように千切れる木々……けれど、それは少女を止めるには十分な大きさ。


「――――」


 風を再び放とうとも間に合わず、和可は迫る木々に身体を捻り。

 だけれど、それでも避けること叶わず……


「和可っ!!」


 宇加が絶叫した。避けることができなかった木にぶつかり、和可が転がり倒れる。

 急いで近づき――だが、


「大丈夫!」


 顔をしかめながら、和可は叫んだ。


「宇加、行ってっ!!」


 それが、どういう意味なのか――宇加はもちろん分からないはずがなかった。

 けれど、だからこそ。


「…………」


 宇加は和可を護るように立ち、そして、すぐに風を放つ。

 目眩ましでどれだけ怯んでくれるか分からないが、それでも少しでも時を稼げれば良かった。

 助けが来てくれることを信じているわけではない。元より、自分達が報告に行かなければ鬼の居場所は分からない。

 ただ、少しでも和可と一緒のときがほしかった。少しでも二人で一緒に居たかった。


「宇加っ!!」


 和可がもう一度叫ぶ。その叫びが何を伝えているのかも宇加は十分に分かっている。

 けれど、それでも――


「グォォオオオオオオオッッ!!!」


 邪魔な風に苛立つように鬼が叫び、腕を振り上げた。

 鬼を睨み、宇加は無意味だと分かっていても腕を薙いだ。

 だが、荒ぶ風は振り下ろす鬼の腕を止めること叶わず――


 サァァァァ――――


 そして、風が鳴いた。


「――――」


 目の前で噴き出す血に和可は声を出せず。

 そして、同じように声も出せず血を噴き出したままその者はゆっくりと前へと倒れる。



 ――首を深く斬られた鬼は、絶叫することもなく絶命した。


 一閃――小さな幼子は鬼が死んだことも確認せず、暗い森の中へと姿を消す。


「……キキ」


 未だ何が起こったのか理解できず呆然と立っている宇加の無事を喜ぶことも忘れ、和可は消えた幼子の名をただ呟いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ