表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦狂のキキ  作者: shio
第三章
40/461


 これで人数は揃った。

 咲久夜、照灯、那都、和可、宇加、須佐――そして、キキ。


(十六の討伐と考えるなら些か不足だが……まあ、『鬼がもっといること』を期待しよう)


 と、そんなことをふと思い――


「……そういえば」

「咲久夜様?」

「いやなに、久々の戦だと思ってな」


 不思議そうに問う照灯に咲久夜は笑った。

 自身が好戦的だとは思っていなかったが、これではキキを諫められない。


「さあ、始めようか――和可、宇加」

「はい」


 ――チリン


 静かに鈴が鳴った。



 二人の少女、和可と宇加は袖を揺らし前へと進み出る。

 すっと手を上げる――そこには何時つけたものか、手首に紅い紐が巻かれ、そして、垂れた糸の先には小さな鈴がついていた。


「……あれは、天鈿女命アメノウズメが鈴。神霊を降ろす神具、神を慰め迎える神楽舞の鈴です」


 見つめるキキの横に立ち、照灯は優しく教えるように口を開く。


「神楽舞を見るのは初めてでしょう、キキ」

「はい」

舞鈴まいすずは神楽舞のためだけにある清められた鈴。不思議なことに神楽の時だけにしか鈴は鳴りません」


 照灯はそこでくすりと笑い、


「実は私達も何故神楽の時だけ鈴が鳴るのかは分からないのです」

「そうなのですね」


 キキも笑い、再び二人の少女へと顔を向けた。


 ――心だに誠の道に適ひなば 祈らずとても神や守らん


 パン――と二人は胸の前で両手を合わせる。


「あれは『きよめ』。己の心に問い、心身を整えるものです。己の内に、心に、生き方に穢れがあればきよめは出来ず、神楽も始めることは出来ません――そして、『むかえ』」


 ――千早ふる玉の御簾巻き上げて 神楽の声を聞くぞ嬉しき


 リンリン――と鈴が鳴り、そして、少女は紅白の装束を纏い揺らし靡かせ。


「次が『とばり』」


 ――幣たつる ここも高天の原なれば 集まりたまえ四方の神たち


 僅かに瞼を閉じ、淡く微笑み、頬には朱が差し――少女二人は月の閃光ひかりに照らされながら舞い踊る。


「舞い終わり、『むすび』」


 ――千早ふる荒ぶるものを拂わんと 出で立ちませる神ぞ貴き


 リン――一際大きく鈴が鳴った。


 ――出で立ちませる神ぞ貴き


 少女二人の踊りが終わる。浮いた袖がゆっくりと下に降り――

 二人は静かに顔を上げ、瞳を開き――静かにその御名を、言の葉を紡いだ。


 ――志那都比売神シナツヒメノカミ


 ―――― ィィィン ――――


 鈴が鳴り響き――そして、が止まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ