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一
――初めての鬼との戦いから一月余り。
「鬼気持ち」と呼ばれ続け、その後、キキと呼ばれ始めた頃の事だった。
梅雨も明けた小暑、姫沙羅の白い花が咲く季節である。キキは、鬼討伐の大きな拠点の一つでもある播磨国、笠形山陰陽寮に居た。
本陣は伯耆国・伯耆大山にあると聞いている。笠形山と共に霊峰の一つでもある――というのは、ここに来て知った事だ。
拾われた村で鬼と戦った後、すぐに陰陽寮の兵士が訪れた。鬼の出現を知り討伐のために来たというのだが、キキが戦っていなければ村人はおろか兵士達も全て鬼に喰われていただろう。それほど到着が遅く、人数も少なかった。
ともあれ、鬼が皆殺しになっている惨状を目にし、その幼子を陰陽寮に連れ帰ったのは鬼討伐を担っている者達にとっては当然とも言えた。
陰陽寮に来てから、キキは鬼討伐の部隊の一つに入れられた。常に幼子と見下されてはいたが、苦もなく大人と同じように訓練をこなす姿に追い出すわけにもいかず、雑用などもさせられながら日々を過ごしていった。
そして、一月の後。その部隊に鬼討伐の命が下った。




