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戦狂のキキ  作者: shio
第三章
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「キキ」


 不意に呼ばれキキ、そして、和可と宇加は声のほうへと顔を向けた。

 見ると咲久夜、照灯、那都がこちらへと歩いて来る……と、そこですぐにキキの変化に気付き咲久夜は問いかけた。


「どうした? なにかあったのか?」

「いえ、咲久夜様と須佐様達を見て懐かしく思い……京のことを話していました」

「……そうか」


 キキの代わりに答える和可に咲久夜は苦笑し……けれど、今は耽る時ではないとも理解し、すぐにいつもの表情に戻る。

 そして、その時にはキキもまたいつもの表情へと戻っている。そのことに満足し、咲久夜は声を発した。


「参るぞ、キキ。お前が先陣だ」

「はい」

「……本当に困るよ、お前には」


 一切の迷いのない返事と真っ直ぐな瞳。キキの意思は変わらずと分かっていても咲久夜はふっと息をつき。


「その小太刀では心許なかろう。護刀だ、受け取れ」


 懐から小太刀よりも短い刀――決して豪華なこしらえではないが品があり、物言わずとも見る人全てを包むような短刀を取り出した。


「咲久夜様、それは茅乃かやの様の……」

「よい」


 驚く照灯に咲久夜はゆっくりと首を振る。


「茅乃様?」

「母上のことだ。この刀は京から離れる際に母上から受け取った護刀……お前が持っておけ」

「受け取れません」


 それは母の形見。そう分かって断るキキに咲久夜は微笑んだ。


「お前を護るために渡すのだ。受け取れ」

「ですが、そんな大切な刀を血に染める訳にはいきません」

「ははっ」


 あまりに正直なキキに――護刀と伝えているにも関わらず、すぐに武器として使うことを考えているキキに咲久夜は笑い、手を取り刀を握らせた。


「いいのだ、存分に使え。刀を護ろうとせず、刀で己を護れ。その為の護刀だ」

「ですが……」

「母上も喜ぶ」

「…………」


 咲久夜にそこまで言われてしまうと、それ以上は何も言えず。


「分かりました」


 キキは手にある刀をきゅと握った。


「よし」


 咲久夜は嬉しそうに、褒めるようにキキの頭を撫で、そして、和可、宇加へと顔を向けた。


「準備は良いか」

「はい、いつでも」


 和可が応え、宇加が静かに頷く。

 ようやく納得させたのか、副将二人から離れ須佐もこちらへと歩いて来ていた。


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