六
「否定はしない。だが、たとえ数が少なくなっていたとしても、我らは鬼を皆殺しにしていただろう。その幼子がしたように」
「勇ましいのは結構だが、人が少なくなれば自然滅ぶのは我らだ。分かっていよう」
「たとえ、俺一人なっても――」
「鬼に復讐さえできればいいというその考えを止めよっ!!」
咲久夜の咆吼に場が静まりかえった。それは今までになかった咲久夜の姿。どこか諦めにも似た感情で武家に対して一歩退いていた咲久夜が初めて踏み込んだ言葉だった。
そのことに礒猛、射楯だけでなく、照灯や那都までもが驚いた顔をしている。
「…………なるほど、分かった」
どれだけの静寂が流れたか……須佐は笑うと咲久夜を嘲った。
「道理で臆病にもなるわけだ。復讐を忘れたか、允殿。京のことを、父母のことを忘れたか」
「っ、貴方はっ!」
「止めよ、照灯」
須佐は咲久夜を嘲っているようで、自らも嘲笑している――そう感じたのは咲久夜と、そして、キキだけだったが。
「挑発には乗らぬよ。鬼を倒すのは我らの使命だが、それは人の世を安んずる為……復讐が目的ではない」
「鬼を皆殺しにすれば一緒だ」
「まだ言うか……」
まったく男は――と思う。だからこそ、これ以上の話は無駄だろう。
「ならば尚更、今回の戦いは我らに任せて貰おう。須佐殿も近くで見るといい」
「なにを言っている?」
「理で分からないならば、力を見せるまで。武士ならば、そのほうが分かりやすかろう――キキ」
「はい」
呼びかけに応え、キキはすっと一歩前へと踏み出した。




