十四
「ははっ、おかしな喩えをいうものだ」
戦いを生活と喩える。武家の者達が言ったならば、成程、さすがは武士とも感心しようが、キキはまだ幼い童女である。しかも嘘偽りない真っ白な心で「戦いは生活」と言われてしまうと笑うより他仕様がなかった。
「まったく、普通の者なら十六という数を聞いて震え上がるだろう。それなのに、お前は……」
勇ましい子と褒めることも、蛮勇だと諫めることもできない。だからこそ、咲久夜はキキと対等な立場で、同じ目線で続けた。
「だが、考えを改める気はない。わしらも共に行く」
「でしたら、鬼の相手はわたし一人で……お願いいたします」
「キキ、力を示さねばと焦る必要はない。お前の力はゆるりと見よう。周りの者のことなど気にするな」
「…………」
(……まったく、どうしてそんなに悲しそうな顔をする)
棒打ちにあった時も、捨て子と自分に伝えた時もそんな顔をすることはなかった。それなのに、戦うことを諫められ悲しみに落ちるとは……
(本当に、妙なる子……)
再度そう思うと共に、(……これは参る)と内で苦笑する。普段あまり感情を出さないキキだからこそ、一度悲しみに染まってしまうと奈落にでも落ちたように見えてしまう。
「わかった……わしの負けだな、キキ」
何より幼子の悲しき顔には弱い。咲久夜は笑い――それはまるで母が子に約束を求めるように――強く言いつけた。
「先鋒はお前に任せよう。だが、一つだけ必ず守れ。無理はするな、死ぬことはもちろん、傷つけられることも許さん。それが守れるというなら、お前の願いを聞こう」
「有り難うございます」
頭を深々と下げ、そして、顔を上げるとキキは本当に嬉しそうに微笑んだ。
「傷をつけられることなく、全て倒して見せましょう」




