十二
「はい、鬼を見つけました。確認出来ただけでも十六体です」
「十六だと」
咲久夜は眉をひそめ、一拍の間を空け続けた。
「最近の鬼の出現だと、十一、十三……どちらも全てキキが倒したものだな。そして、今度は十六か」
「咲久夜様……」
「ああ、京の時と同じだな。段々と数が増えてきている」
照灯の声に頷き、咲久夜は小さく呻いた。
「人間を求めて動き出したか……鬼め」
――そして、それは京の人間達を喰い尽したという意味でもある。
(心に鬼を住まわせるな……恨みに、復讐に囚われるな)
もう一度、自身に戒め、咲久夜は言葉を続ける。
「数が多すぎる……すぐに討たねばなるまい。今は十六だが、それ以上居ると考えたほうがよかろう。今回は我らも出る、すぐに武家にも伝えよ」
「は、では、直ちに」
「お待ちください」
凜と言の葉が闇夜に鳴った。
「咲久夜様、わたしが参りましょう」
「咲久夜様、そのお子は……」
「ああ、キキという。わしらの新しい仲間だ……と、ゆっくり話したいところだが」
和可に答え咲久夜はすっと顔を向けた。隣に座る幼き子もまた咲久夜を見上げる。その瞳は澄み、常と変わらず――だからこそ、咲久夜は言葉の意を図りかねキキへと問いかけた。
「キキ、どういうことだ」
「わたしが先に行き、鬼を全滅させます。その後、須佐様と来られてください」
「なんだと、十六の鬼をお前一人で」
「はい、それで納得するかは分かりませんが、武家の人達の京への進撃を一時留まらせることはできるかもしれません」
「駄目ですっ、キキ。貴女を一人で行かせるなど」
すぐに声を上げる照灯に咲久夜もまた続ける。




