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戦狂のキキ  作者: shio
第二章
23/461


 巳一つ時から始まった評定だが、終わったのは申の刻にもさしかかった頃だった。


「ごめんなさい、キキ。まだ傷も癒えていないのに……」

「いえ、大丈夫です、照灯様」


 心配そうに肩に手を添える照灯にキキは首を振った。実際それほど疲れていない。様々な事を、今の陰陽寮や武家、鬼討伐の状況を知ることができた。それは、キキにとって最も知りたい情報だった。


「ああもう、キキは可愛いなぁ」

「ぅむっ、な、那都様……っ」

「那都っ、なにを抱きしめているのですか!」

「えー、いいだろ。照灯はずっとキキといたんだから」

「それは、そうですけど……私も今日は一度しか抱きしめていないのに……」

「私もこれで一回だ。お相子だな」

「まったく、お主らは……」


 那都と照灯のやり取りに笑い、そして、その笑いを苦笑に変え咲久夜は嘆息し続けた。


「しかし、いつもながら長かったな。どうにもならぬことをくどくどと……」

「…………」

「どうした、キキ。何か聞きたそうだが」

「わたしが話しても宜しいのですか?」

「言っただろう、我らは家族だと。遠慮は無用だ」

「わたしのような子供が戦の話をするのは憚れるのではないかと……」

「なるほど……良い、話してみろ」

「ここ、笠形山に陣を敷いたのは京の奪還のためだったのですね」

「うむ」


 咲久夜は軽く頷いた。隠すことではない、まさに評定の目的がそうだったのだ。分かって当然だった。

 キキがそう切り出したのも確認でしかない。本当に聞きたいことは次のことだった。


「……京は、鬼に落とされたのですね」


 キキは一瞬迷い、そう続けた。鬼討伐の中心である陰陽寮おんようのつかさ。そして、陰陽寮の中心の一人である咲久夜。そんな人物に京が落とされたことを聞くのは、敗北の話をしてくれといってるようなもの……だからこそ、間を空けた。


「…………」


 咲久夜は苦笑し、キキの頭に手を置いた。本当にこの幼子は気を遣う。どういう環境で育ったのか、幼子らしくないというのは……不幸なことだろう。だからこそ、照灯や那都が構ってしまうのだろうが。


「……少し長い話になる。まずは、疲れた。家に帰って休むとしよう。お前には他に話したいこともあるしな」

「わかりました」


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