六
「ほう、話とは?」
「その幼子は我らの隊の者だ。返してもらおう」
「何をいうかと思えば……受け入れるわけがなかろう」
「いや、受け入れてもらう。これからのことに必要な者だ」
「ほほう……」
咲久夜の視線が鋭くなる。
「罰と言い、棒打ちにしていた子にこれ以上何をするというか」
「その事は聞いた。目が届かないとはいえ、そのようなことになったことは詫びよう」
「っ――!」
「照灯」
思わず声を上げそうになる照灯を抑え、咲久夜は冷たく続けた。
「言葉だけの詫びなど要らぬ。誰が幼い子を棒打ちにするような所に戻すものか」
「只の幼子ではないだろう。聞いた報告が真実ならば、その子供は元居た村のものも合わせて鬼を二十体以上一人で殺したことになる」
「だから、どうしたというのだ」
「立派な兵士だということだ。京奪還の先陣となる」
「成程、今まで目にもかけていなかった者をすぐに先陣につかうというか。底が知れるぞ、須佐殿」
膨れ上がる兵士の殺気に今度は須佐が視線で抑え、けれど、決して自身の殺気は抑えることなく咲久夜へと低く応じた。
「まだ時期ではない、と弱腰でいる者達に言われたくはないな。戦う気がないのなら、伯耆大山へと帰るがいい」
「……繰り返しだな」
咲久夜は笑う。またつまらない評定になるだろうが仕様がない。
「では、評定を始めるとしようか」
「まだ、その子供のことは終わっていない」
「終わっている。いくら何を言われようと、キキを武家へと渡すつもりはない」
一言で絶ちきり、咲久夜は続けた。
「大いに話し合おう。良い案が出ればよいな」
今の流れであれば皮肉でしかないだろうが、良い案が出ることを心から願い……そして、評定を始めることにした。




