第9話、皇国にて,3
私たち家族が皇国に来て2ヶ月が過ぎ、お母様の記憶は戻りませんが、私を娘とお父様を旦那様と認めて新しい家族として暮らしていました。
私は魔法具の研究の他に自分の魔力を増やして魔法の威力を上げる鍛錬と、創造の魔法で作った片刃剣(前世の日本刀)で剣の修行と体術の訓練をしていたのです。
今日も近衛騎士団の訓練所に行き男性の騎士に混じり訓練をしていました。
相手はクリス様の側近のジャン様で最初は剣だけで模擬戦をしていましたが、やはり体力差と経験が違い追い込まれたので刀に火の魔法で独自に編み出した真っ赤なビームを流して切り込みました。
ジャン様が剣で受け止めたのですが剣が溶けてビームが腕に当たりジャン様の腕が切り落ちてしまい。
私は慌ててジャン様に治癒魔法を掛けたのです。
直ぐにジャン様の身体は青白い光に包まれて腕が元に戻り私はホッとして
「ジャン様ゴメンなさい」
ジャン様も見ていた騎士たちも私の治癒魔法に驚いていたがジャン様が
「相変わらずイザベラ嬢の治癒魔法は凄いな、それにしてもさっきの火の魔法初めて見たけれども、あれなら誰にも負けないじゃない、熱くて痛かったけれどね、アハハ」
と言い笑ってくれたので良かったのですが、此の魔法剣は人間では危ないので魔物で試さなくてはと思ったのです。
後日、其の事をクリス様に話すとクリス様は魔物の出る皇都から馬で1日位の所にある魔の森に連れて行ってくれました。
私も練習して女ながら馬に乗れるように成っていたのでクリス様からプレゼントされた白馬に乗り。
何時ものジャン、ニューリ、クリス様、と警護の騎士10人の14人で馬を飛ばして魔の森に夕方には着いたのです。
其の日は騎士たちがテントを張ると言いいましたが、私がテントでは寒いので、土魔法で10分くらいで大きな洞窟を作ると騎士たちが
「オオッ~」
と歓声を上げて喜んでくれました。
洞窟の中に土魔法でベッドとテーブルと椅子を作り私の空間魔法で無限空間から温かいままの料理を取り出してテーブルに並べていると。
離れている場所でクリスが溜息をつき
「イザベラ嬢は何でもありだな、魔法では太刀打ちできないな」
ニューリもため息をつき
「本当ですよね~、見た目は綺麗で可愛い妖精のような美少女なのに本気で戦ったなら皇国の強者と言われる騎士や冒険者でも勝てそうも無いですよね」
ジャンも肩を落として
「俺は皇国で1番の剣の達人だと思っていたがあっさりイザベラ嬢に腕を切り落とされたし、
冒険者みたいに二つ名を付けるとしたら
【美少女戦姫イザベラ】かな
側で聞いていた騎士たちも
「其の二つ名、良いですね~」
それから騎士たちの間では
【美少女戦姫イザベラ】
と呼ばれる事になるとは知らないイザベラは料理を並べ終わり。
「皆さん食事の用意が出来ましたわよ~。
食べて下さい」
そんなイザベラを見ながら騎士たちは
「あんな女性を奥さんに出来たら最高だよな、俺告白しようかな」
「バ~カお前なんか無理に決まっているよ」
等と小声で話していた。
聞いていたクリス皇太子の機嫌が悪くなり
「イザベラ嬢は誰にも渡すもんか」
と呟いたのは誰の耳にも届かなかったのだ。
食事が終わり後片付けは騎士たちがしてくれたので私はクリス様に魔物について詳しく聞いてみたのです。
魔物には2種類あり普通の魔物と魔物が進化した魔獣がいるとの事だった。
普通の魔物は猪、猿、狼、などの動物が魔力を貯めて魔石を持った動物だが稀に魔獣に進化する者もいるらしい。
魔獣とは鬼の姿をしたコブリン、オーガなど人間の姿に近くて普通の魔物より知恵があり、道具を使うという事でした。
時々新種の魔獣が現れる事もあるので油断しないで下さいと言われました。
ある程度は魔物の習性なども聞いたが夜も遅くなり女性は私一人なので洞窟の一番奥で寝るように言われて。
洞窟の奥に土魔法で壁を作り小さな部屋にして寝袋に入り込み眠りに付いたのでした。