第6話、皇国に着く
小屋を出て谷川沿いに1時間位歩くと滝にぶつかり谷川は行き止まりでした。
クリス様が私に近づき
「此処は危ないから」
と言いながら私を横抱きに、お姫様だっこしたのです。
私は慌てて「大丈夫ですから」と逃れようとしましたが余計に強く抱きかかえられてしまい。
私は生まれて初めてのお姫様抱っこに恥ずかしくて顔を真っ赤にして運ばれたのです。
お母様はお父様が抱っこしようとしたが危ないからとジャン様に言われて、お母様はおとなしくジャン様にお姫様抱っこされて谷川を渡り滝の裏側に連れて来られのです。
驚いた事に滝の裏側は洞窟で少し歩くと人工のトンネルだったのだ。
皇国が王国の情報を得る為に王国に侵入する目的で掘られたトンネルとの事でした。
トンネルには魔道具で動く前世のトロッコみたいのがあり、其れに乗り込むとニューリ様が動かして、結構速く走り30分位で皇国側に着いたのでした。
トンネルを出ると其処は王国が奪い取ろうとしている宝石鉱山で兵士たちが厳重に警備しているのが見えました。
クリス様が私たち親子を鉱山の一番大きな建物に連れて行き、
「此処までくれば王国の手は届かないので安心して良いよ、少し休憩してから馬車で皇都リシアに向かうからね」
そう言うと部屋を出て行き、少しして戻ると私に
「此れを知り合った記念にプレゼントするよ、イザベラ嬢の瞳と同じ色の此処でしか取れない宝石で魔力を含んだ原石だよ。
皇都に着いて落ち着いたらペンダントでも指輪でも好きな物に加工してあげるからね」
私が遠慮していると強引に手に渡されて、
見て見ると本当に私の瞳と同じ青色に鮮やかに光る宝石の原石だった。
私は生まれてから前世も含めてこんな高価な物はプレゼントされたことが無く戸惑ったが
クリス様が私の顔を覗き込むようして
「僕からのプレゼントは嫌なの?」
と言われて、私は胸が「ドキッ」として顔が赤くなり
「いえ頂きます、プレゼントありがとうございます」
側近のジャンとニューリがその様子を見て
「女嫌いと言われている殿下が女性にプレゼントするの初めてじゃない?もしかして彼女に惚れたのかな?」
側近二人のヒソヒソ話は誰にも聞こえなかったのだ。
それから馬車を走らせて私たち親子とクリス様たちは皇都の向かったのでした。
皇都リシア迄は三日位掛かるので途中の街で二泊する予定と言われたのです
皇国の道路は王国よりも整備されていて馬車もそんなに揺れなく快適な旅でした。
皇国の事はある程度知っていましたが、聞いていたのと違い王国よりも文化や道具が進んでいて泊まった宿は前世の高級ホテルみたいで驚きました。
道中クリス様が何かと面倒を見てくれて友達みたいな仲になれたのは嬉しく心強かったのですが、側近と私が仲良く話していると少し機嫌悪くなるのはどうしてなんでしょうか。
お母様は相変わらず記憶は戻らず、子供みたいになり、馬車の中から景色を見てはしゃいで喜んでいて、そんなお母様をお父様は嬉しそうな悲しそうな複雑な顔で見ていたのでした。
三日目の朝にホテルを出ると騎士が30人ほど整列しており、皇都から殿下を警護する為に来た近衛騎士団だとニューリ様が教えてくださいました。
私がクリス様にエスコートされて馬車に乗ると騎士たちが騒めき
「殿下が女性をエスコートするとは珍しいな、それにしても妖精か女神様みたいに綺麗な女性だな、何者なんだろう?」
そんな声が聞こえてきて私は恥ずかしくなりながら馬車に乗り込んだのです。
迎えに来た騎士団に警護されて皇都に向かい夕暮れ前に皇都リシアに着いたのです。
街の大きさと華やかで賑わいに目を見張ってしまい、クリス様に笑われてしまったのでした。
お父様が皇太子様たちと別れて皇都の宿に泊まると言ったのだがクリス様は
「王国の暗殺者が入り込んでいるかも知れないから用心の為に城に泊まるように」
と強引に城に連れて行かれたのです。
城は前世のヨーロッパの王宮みたに大きくて豪華な宮殿でした。
中に入ると中も彫刻が施されていて、廊下にはふかふかの絨毯が敷かれていて、まるでおとぎ話の世界に紛れ込んだみたいです。
案内された客間は広くて嫌みの無い豪華な皇族が泊まる部屋だったのです。
恐れ多い事にクリス様が直々案内してくれたので恐縮してしまったのです。
クリス様は気を使い
「色んな事がありすぎて疲れたでしょうから、今晩は家族でゆっくり休んでください」
と言い部屋を出て行ったのでした。
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