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03 ”日常だったころ→運命”

俺たちの高校である私立しりつ北山きたやま高校についた。


私立北山高校は今では少し珍しいマンモス校である。全校生徒数が1400人を超え、一学年につき500人ほどでクラス数は12クラスもある高校である。


そのため慧とは別々のクラスである。


校舎は6クラスごとで分けられていて慧はK組で俺はF組である。なので校舎も別々である。そのため行きは一緒に登校し、帰りは別々に帰るのが基本となっていた。


校門で慧と別れた俺は自分のクラスであるF組に向かった。


クラスに入ってからは先生が来るまでは各々、友達と会話などをして盛り上がっていた。


その中で俺はというと・・・自分の席に着くなり鞄から本を取り出して読みふけっていた。


だが決して話す友達がいないのではなく俺が付き合う友達はみんな一人の時間が好きらしく(一人を除いてだが・・・)各々スマホを触ったり、本を読んだりして時間をつぶしていた。そんなことを考えていたためか手元がおろそかになり(しおり)を落としてしまった。


(あっ!)


「はい、どうぞ」


しおりを拾おうとしたとき隣からのびてきた色白の肌の手がすでに栞を拾ってくれていた。


ふと顔を上げるとそこには女の子の顔があった。


その子は黒縁メガネに黒髪でおさげの髪型をしており更にはスカート丈も校則通りに膝下まである。典型的な暗めの女の子だと思ったが・・・


よくよく見てみると、メガネの下は切れ長な目をし、きめ細かで雪のように白い肌、鼻筋が通っておりとても整った顔立ちをしていた。隠れイケメンならぬ隠れ美女(清楚系)である。


その子の名前は(ひめの)小路(こうじ)(しゅ)()


今年の4月に転校してきたばかりの子だった。家庭の都合で引っ越してきて北山高校に転入してきたらしい。


それからは席も隣同士の縁でちょくちょくと話すなかになっていた。俺の数少ない気兼ねなく会話ができる女の子でもある。


「ありがとう、姫小路さん」


「いいえ、どういたしまして」


「・・・・、ところで神岡くんはす・・・・の?」


少しの間俺の顔を見ていたと思っていたら急に少し悲しそうな顔をしながら聞いてきた。

しかし姫小路さんは言葉を紡ぐほど声が次第に小さくなっていったので最後あたりはしっかりと聞き取れなかった・・・。


「??、ごめんよく聞こえなかったからもう一度言ってもらってもいい?」


「い、いえ!大したことではなかったのでやっぱり大丈夫です!!」


笑顔で返してきたが、それは作り笑顔に近い気がした・・・。


(んーー、少し気になるけど・・・あまり相手の気持ちを考えずにしつこく追及するのはダメだし・・・)


(・・・・、よし!!話してくれるまで待つか!!姫小路さんにも心の準備が必要だと思うし!!)


この時の俺は何か勘違いをしていたと思う。・・・恥ずかしい!!


「あの、今日の放課後は空いてますか?」


「へ?」


(え!?、ずいぶんと早いな、待つとは思ったけどこんなに早いとは・・・)


そんなことを考えていたからか口からは素っ頓狂な声が出ていた。


「ダ、ダメですか?」


(そんな悲しい顔と声で言われたら断れないよ~~~~)


今日はいたって何もやることもないから断るつもりはないけれど、少し“ドキッ“としてしまったことに俺って少しS系があるかも?と少しばかり不安になっていたことは内緒・・・。


「い、いや、全然大丈夫だよ!」


「ほっ、よかった、それじゃ放課後、この教室でね!!」


「うん、了解」


そんなたわいもない会話をし、今日の放課後をむかえずにテロリストに連れ去られてしまう、それが姫小路朱李のむかえる運命。


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