~追加~2
すみません! 昨日は更新すると言っていたのに、すっかり忘れてしまっていました……。
配信活動のゲストでお呼ばれしていたラジオ番組、とっても楽しかったです。←
「――はっ? 意味わかんねーんだけど」
もはや誰もが考える次元を超えてしまったからなのか。
あまりの現実離れした内容に、ついに竜也は、笑ったように言葉を落とした。
「列車? 解除コード? 地下へ行け? 何でそんなことをしなくちゃなんねーんだよ」
きっと、竜也も既に理解不能な域まで達してしまっていたのだろう。
笑ったように口角を上げて話している竜也であったが、その表情はとても冷静で、怖いくらい。
一方の生徒達も、そんな竜也へ視線を送ろうとしたが皆表情は固まったまま。
まるで操り人形となってしまったかのような、不自然な程の妙な動き。
「……要するに我々は、二つの事を行動に移せばいいだけだ」
そんな中で唯一、冷静に行動を移せていた透子が声を発する。
段ボールの中から武器を出し終えた透子は、竜也とは違う穏やかな口調で、皆に向かって語り掛けた。
「まず一つ目は、地下へと続く扉を開く為のコードを探すべく、校内を散策する。二つ目は、その散策時に出会す可能性のあるやつらを、始末するという事だ」
さも、皆も正常であろうとでも捉えているかのような透子の口ぶり。
皆が固まり、動けないでいる状況を透子は全く理解をしていない。
「そして、全てを一二時までに終えて地下へ行かなければ、我々は爆弾に巻き込まれて死ぬという事だな」
なんて簡単に言ってのけた透子へ向かって、竜也がようやく食って掛かった。
「――だからっ! そんな事は分かってんだよ!」
声を荒げ、今にも透子の胸ぐらを掴んでしまいそうな勢いの竜也の声。
「なんでこんな事になっているのかが、知りたいんだよ!」
まるで、どうしてそんな事も分からないのだとでも言うように、竜也は全身で透子へと圧を掛ける。
慌てて止めに入った雅也がどうにか竜也を押さえ込んだが、肝心の透子はというと、依然として意味が分からないとでも言いたげな様子であった。
「……そんな事を考えても、時間の無駄だ」
それは竜也へ向けて放ったのか。
それとも全体へ向けた言葉だったのか。
低く、整った声で話す透子。
「今は原因を追及するよりも、武器を装備し、決められるだけの事を決めなくてはいけないのではないか?」
なんて語る透子は、まるで既に状況を把握しているかのような落ち着きぶり。
皆が透子の行動を黙視している事はお構いなしに、武器を物色しながら一人着々と準備を進めていく。
「……そう、だね。どうしてなんて事は、助かってから、いくらでも考えられる」
一方、そんな友人である透子の落ち着きを見て、少しずつ思考が回るようになってきた桜。
自身も透子の隣へ座ると、分かりもしない武器を無心で手に取ってみせた。
「それよりも今は、ここのロックが解除される前に、出来るだけ準備をしようよ! 何よりも、生き残る為に」
――何よりも、生き残る為に――
それは桜自身が放った言葉。
しかし、その言葉は桜の中で何度も何度も木霊する。
雅也や他の生徒達も桜と同様、その言葉の意味を感じ取る事が出来たのか、各々無言で床へ広げられた武器を手に取り始めた。
「……お前、よくもまあ、そんな平然としていられんな」
きっと、竜也は未だに納得出来ていないのであろう。
荒々しく透子から視線を外した竜也は、ぶっきらぼうに桜へ向かって言葉を掛けた。
「おかしーだろ、絶対」
一体、それは桜へ向けた言葉だったのか。
それとも、桜を通した別の誰かに投げた言葉だったのか。
静かに吐き捨てると、竜也は無言で床へと広げた武器の中から自身が扱えそうな物を拾い上げた。
「そう……かも、しれないな」
そんな中、静かに聞こえた透子の声。
側にいた桜でさえ聞き取れるかどうかの小さな声を聞いて、僅かに桜が反応する。
しかし、その場にいた他の生徒達は誰も聞こえなかったかの様子。
静かに黙々と、使い方すら分からない武器を物色する生徒達。
――透子……。今の言葉は、どういう意味……?――
なんて、桜はそっと透子の事を見据えてみる。
既に透子は、自身が使用する武器を見つけた様子。
「――変わったな」
ゆっくりと、手に持っている刀を確認するかのように見つめていた透子。
すると不意に透子が、桜と視線は交わさないまま、そっとそんな事を呟いた。
「……えっ?」
透子が落とした言葉の意味が分からず、透子へ聞き返した桜。
しかし透子は、桜の問い掛けに答えようとはしない。
「何でもない。成長しているのだな」
そう言って自己完結をしてしまうと、透子はこれ以上、桜と会話を続けようとはしなかった。
明日も更新しますねー!
作者のリアルの仕事がバタついている為、時間は未定です。