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プレゼンスB  作者: 重山ローマ
それってつまりそういうこと?
7/45

 

 依頼はそうそう来るものではない。

 部室に来てはいるが、毎日ただ宿題をして帰るだけになっていた。


「数馬ァ! だれもこないよ!」


「うるさいな。知ってるよ」


 部長はまた今日もチラシを持って学校中を走り回っている。

 無許可で掲示板に貼り付けては剥がされるのを繰り返しつつ、無視される勧誘を繰り返しつつ——だれかが来るわけがないのだ。


「頼もう!」


 と、だれかが部室にやってきた。

 俺はいつものように言う。


「階段を降りて、右に真っ直ぐ。図書室の前を通ったらすぐ隣が美術室だ。ここは元美術室の、さらに準備室だから。間違っているぞ」


 迷子が多い学校だ。

 とくに、今は美術室が二つある学校だから余計に間違えることが多い。

 あまりに迷う人が多いため、わかりやすくするために教室を変えている最中なのであった。


 部長が無許可でこうして部屋に居座れているのも、移動させたは良かったが、移動させているうちにいらない部屋ができてしまったから。

 まだ美術室だと思い込んで、この学校で有名な『美術部のプリンセス』に会いに来る男子生徒が後をたたないのである。


 もちろん、ここにいるわけがない。


「いや、間違ってない。オレは依頼をしにきたのだ。名は鈴木文太すずきぶんた。2年3組の爪を隠した虎とはオレのことだ」


「と、トラだァ!」


「なんだ。ただの依頼主か」


 どこかの雑誌でよくみる髪型。

 どこかで見たことのある崩した着方をした制服。

 どこかしらで良く聞く苗字。

 顔を見ても、どこかに特徴があるわけではない。


「普通だな。すごく」


「爪を隠しているからな」


 なら仕方あるまい。


「まあ、まずは依頼を聞こう。部長、飲み物買ってきて」


「なんで!? 僕部長なのに!?」


 邪魔だからだよ。

 とは言わず、百円玉を握らせた。


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