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プレゼンスB  作者: 重山ローマ
なんでもするって言ったよね?
17/45

 

 いま、何かと目が合った。

 唯野蜜柑は、何かと目が合った。


「う、ううう嘘でしょ? なんであんなところで目が合うのよ。おかしいじゃない」


 床から数センチ。

 そんなところで目が合うわけがない。


「間違いない。この部室は何かがいるわ。おぞましい何かが」


 帰りたい。


「い、いやいやいやいや。逃げちゃダメよ。あたしはジャーナリスト! どんな辛いことがあっても、自分のためならやりきらないと!」


 でも、こわいから匍匐前進はやめることにした。

 下に目があるのだ。

 上に目はない。

 どんな化け物でも、上下に目がある奴なんているわけがない。


「そうよ。きっと逆立ちでもしてるんだわ。ふふふ」


 あたしはまたドアに近づいて、ゆっくりと力を入れ――——


「……」


「……」


「いやぁああああああああああああああああああああ!」


 あたしは気を失った。





「いやぁああああああああああああああああああああ!」


「うわぁああああああああああああああああああああ!」


「ヒィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!」


 二人は目が合ったことに驚き、一人はよくわからないまま釣られて悲鳴をあげた。


「二人ともうるさい」


「はい」


 三波に言われて気が落ち着いた。


「ヒィイイイイイイ!」


「部長」


「あい。ごめんなさい」


 部長も落ち着いたようだ。


「依頼主でしょ。外にいるの」


「おばけじゃないの? ほんとに? 数馬見てきてよ」


「嫌だ」


 きっぱりと言い張った。


「なんというか。ここにきてから数馬くんのことがよくわからなくなったわ」


 三波はため息をついて立ち上がると、部室のドアを力強く開け放った。


「あー」


「どう? おばけまだいる?」


 部長は恐る恐る三波の後ろに立つ。


「なんというか。まあ、恐ろしい光景には、なってるわね」


 三波が言うには、白目を向いた生徒が、カメラを片手に倒れているらしい。

 見えてはいけないものまではっきり見えているそうで、俺はこわいから近づかないことにする。


 今日ではっきりした。

 俺は怖いものが嫌いである。


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