表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プレゼンスB  作者: 重山ローマ
なんでもするって言ったよね?
15/45

 

 あたしの名前は唯野蜜柑ただのみかん

 いや、冗談ではない。

 あたしの実名だ。

 時々ばかにされるけれど、ちょっぴりだけ気に入っている。


 いま、そのことは置いておこう。

 名前のことはいくらでも話せるけれど、いまはそんなことを考えている暇はない。


「だから、無理なの」


 私は頭を下げていた。

 土下座だ。

 床に押し付け——というか、擦り付けるように、下手をすれば煙でも出てしまいかねない勢いで摩擦している。


「そこをなんとかっ! あたしたち姉妹じゃない。お姉ちゃんが頼んでるんだから、ね?」


「他の人の目があるところで、姉に土下座されるこっちの身にもなってよ」


 それを含めての土下座だった。


「お願いします! なんでもしますから!」


「でも……」


 妹の立花柚子たちばなゆずは戸惑いの声をあげた。

 きっと彼女も、必死にやってくれていたんだと思う。

 あたしの部活が潰されないように。


「新聞部部長として、ずっと昔からあるこの部活を潰すわけにはいかないのよ!」


「それはね、生徒会長のわたしとしてもね、姉を応援する妹としてもね、同じことを思ってる。だけど、部員がたった一人の部活に部費をだすわけにはいかないの。人数がどれだけ多くたって、どれだけ少なくたって、同じ額なのはお姉ちゃんも知ってるでしょ? 不公平だって声が多くて。せめて五人いれば……。いまだって特例なんだから」


「たすけて柚子ぅ」


「もう」


 その時、後ろで黙っていた生徒副会長が声をあげた。


「ん?」


 なんの話だ?


 あたしは顔をあげる。


「そっか。お姉ちゃん、実は勝手に勧誘をしている部活がいるんだけど、ちょっと……」


「ちょっと?」


「なにかを始めたい生徒の意志は大事にしないといけないと思うの。でも場所がよくない。わたしは近づきたくないからね」


「というと?」


「元美術準備室なの」


「……」


 あたしはなんと言えばいいのかわからないけれど、運が悪い人間だ。

 新聞部として活動するには、写真をよく撮るわけだけれど。


「ねえ、柚子。あたしの体質、知ってるよね」


「うん」


「撮る写真が全部心霊写真になるって知ってるよね?」


「うん」


 なんというか、そんな体質をしていて言うのもおかしな話だけれど。


「あたしがおばけ嫌いだってしってるよねえ!?」


「いってらっしゃい。お姉ちゃん。幽霊の新入部員さんが待ってるよ」


 元美術準備室は昔から、おばけが出ることで有名だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ