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ドテンプレ転生ファンタジー「死の先にて」  作者:
序章「山の手線の電車に跳ね飛ばされて転生をした」
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01:現代日本人が危険感知の能力を得て魔術蔓延る異世界に転生する

 山の手線の電車に跳ね飛ばされて転生をした。

 死んでいるときに神だのと名乗るやつが何やら小難しいことを言ってきた。

 要は次に今までとは違う世界に生まれ変わるから何か特殊な力をくれるらしい。

 そういうことなら似たようなことでまた死にたくもないので

「事前に避けられる危険を前もってわかるようにしてくれ」

 と頼んだら、なぜか不思議な顔をされたことだけが妙に印象に残っている。



 違う人間として生まれ変わりどれくらいになったろうか。

 頭は未だ何だか明瞭しない。

 何十年だか日本で生きてきた記憶があるのに、今の自分が乳離れしたばかりの赤子という意識もある。

 赤子のためとは思えない豪華な一室が自分のために拵えられたものだと確信できる。

 時折見かける西洋貴族風の美男美女が自分の親だということにも違和感を覚えない。

 西洋的な侍従や乳母と思しき多数の人物が代わる代わる世話をするのももはや日常だ。

 自分の中に二人の人間いるようで何とも不思議な感じである。

 とはいえ、そもそも日本人としての記憶を持って別人に生まれ変わるより不思議なこともあるまい。

 ならば多少の違和感も当然かと割り切ることにした。

 幸か不幸か今生の自分は富貴な家の人間らしく、物心つけば休む間もなくお稽古事の日々である。

 ならば自分は何者かなどと哲学にふけるより自分の立場と今後を考える方が先だろう。



 そんな礼儀作法や様々な言語の稽古で日々が過ぎていったある日のことである。

 父親がまた新しい家庭教師と思しき老人を連れてくると、不意に嫌な予感を覚えた。

 さらにその後自分が手から火を出し、その火が自分の服に燃え移る予感だ。

 もはや確信と言っても過言ではない。

 卵を手から落とした時に「ああ、これは割れたな」思ったことはあるだろうか。

 おおむねそのような胸にすとんと来る、納得を伴った予想のごとき【確信】である。

 どうやらこれが「事前に避けられる危険が前もって分かる」能力らしい。

 しかし自分がなぜ、どうやって手から火を出すのであろうか。

 そう訝しんでいると、父親がその老人を自分にこう紹介した。


「今日からお前にも魔術を教えることになった。

 彼がお前に魔術を教える先生だ。

 魔術は便利だが危険なので先生の言うことをよく聞くように」


 どうやら、先ほど感じた教師がしでかす【確信】はその魔術によるものらしい。

 転生の次に魔術とは、本当に違う世界に生まれてしまったようである。

 そんな感慨にふけりながら、さて水道と桶はどこにあったろうかと記憶を手繰った。

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