ありふれていたはずの夏の日の思い出
少年「暑い...」
少年はここ最近の暑さに苛立っていた。
少年「なんで日本の夏はこんな高温多湿なんだ..」
それも仕方なかろう。そういう地だから。
少女「こらーっ!!勉強さぼるなーっ!」
いきなり部屋に入ってきた少女に怒鳴られる。
少年「うるさいなぁ...暑いってのに勘弁してよ...第一宿題なら終わってるよ...」
少女「え、ウソ...?」
居間さっき怒っていた彼女の顔が一気に青ざめる。
少女「夏休み入ってまだ初日だよ!?そんな早く終わるの?っていうか今やってるのは??」
少年「やり方次第で終わる、でこれは予習。終わってないなら手伝うぞ。1階なら冷房着くしそっちでやるか。」
そう言って少年は立ち上がるが、
少年「う…(フラッ)」
急に目の前がかすみ倒れそうになる。
あわてて少女が支える。
少女「大丈夫...?最近よく倒れるって聞いたよ?」
少年「う…ん...大…丈夫...」
そういうが、少年は苦しそうだ。
少女が支えながら1階に降り、ソファに寝かせる。
少年「ありが…とう。」
少年は長身だが体が弱いのだ。だからいつも部屋に篭り本を読んでいる。そのためか頭はいい。
逆に少女は小柄だが、スポーツ万能で活発だ。
むしろスポーツ以外取り柄がなく成績辛うじて平均を維持している。
少年「体力があるって良いなぁ…」
ふと少年がそう呟く。
少年「グラウンド走り回って...汗まみれに、泥まみれ」
少女「...」
少女は言葉を失う。
今まで知らなかったのだ。彼がこんな寂しさを感じていたなんて...
少年「いつか...皆と...」
そこで言葉は途切れる。眠ったのだ。
少女「もう、貴方はいつもそうだよ。
普段は素っ気ない癖に、こういう時はそうやって私を困らせるんだから。」
少年は静かに寝息を立てている。その寝顔もどこか寂しそうだ。
少女「そんな寂しいなら、私が一緒にいるよ。
ずーっと、ね。」
自分の言った言葉に恥ずかしさを覚えながら、少女は少年の懐に潜り込む。
そのまま二人は寝息を立て眠る。
この話はある夏の日のありふれた少年少女のお話。