Chapter14 ー元少年の決意ー
「私がリンのお兄さんの名前を知っている理由ね」
「……ずっと気になってたの。君は兄さんに頼まれてボクを護っている」
「ええ」
「だけど、君をボクに付ける意味がわからない。ボクはまだフェイタルゲートの世界に来て間もないのに……」
レンを自分に付けてこれをクリアした方が脱出し易いはずなのに、レンをフェイタルゲートに来たばかりのボクに付ける理由がない。
ボクが何かのキッカケ、あるいは鍵になるならともかくとして。
「……本当は話したくないんだけど、話すよ」
今から言う言葉にショックを受けないでね。とレンは前置きをし、驚愕の事実を放つ。
「あなたのお兄さんは死んだ」
「えっ?」
「もう一度言うわ。あなたのお兄さん……二条 拓哉は死んだ。いや、殺されたというべきね」
レンの口より発せられた新事実に驚きを隠せないでいた。
色々と問いただしたい疑問はあるのに、すべて空回りして言葉が出て来ないし、この世界に来た時から感じていた違和感。
精神は身体について行くとは良くいったものだな。
いつの間にか一人称が変わるし、変わったと実感する暇もなかった。
一人称すら最初は少女として違和感がないようにと、使用していたのに今の自分は気を付けて話さないとボクと言ってしまう。
二条 鈴という意識を、無理矢理別の身体に入れただけで継ぎ接ぎが上手くいっていない。出来損ないのガラクタ。
それを救うためのプログラム。
(それがレン……)
「に、兄さんが殺された理由は?」
「ゲームを完全に掌握するため。あの方はゲーム内で強くなり過ぎた」
「……目の上のたんこぶ。要するに兄さんが邪魔だったってことね」
「あの方の、一度見た技を完璧に真似してしまう特性を。と言った方が語弊がない気がしますが」
ずっと探していた兄さんが死んでいる。本当なら落ち込んでもいいはずの衝撃を受けてもおかしくないのに実際のところ、あんまりダメージは受けていない。
死んでいるとあらかじめ思っていたのか、死に対して興味がなくなったのか。真相はわからないが、やるべきことはわかった。
「……そいつは今、どこにいる?」
「隣国ーー、『アプリリュート』です」
この世界のマップをまだ見せて貰ったことがないから判断は出来ないけど、かなり距離はあるのだろうな。
レンの顔色を伺っていると嫌でもわかる。
「よし、行こう。アプリリュートへ」
次の目的地を決めたオレは、兄さんを殺したという奴を探すために隣国を目指すことにした。
それが、元の世界へ戻るための第一歩だと信じてーー。
第一章 決意の書 完
これで第一章は終わります。
続きが何話分も出来次第、連載も再開させていただきますので。
お楽しみにしていただけると、嬉しく思います。




