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第弐幕 ―玲―


 案内された部屋に二人きりにされたアークと少女

 少女は怪訝そうにアークを見つめた

「あんなあんなこといっていいの?」

「は?」

「私の腕とか……」

「君が普通の兵士以上に戦闘に特化しているのはもう気づいているけど?」

「……っ!? どうして?」

「身のこなしとか、纏っている雰囲気とかでだいたいわかるもんだけど?」

「……あんた、ただ者じゃないわね」

「うん。よく言われる」

 始終表裏のないニコニコとした笑顔の青年を少女は少し警戒しながらみていた

「……そんなに警戒しないでよ。 俺人畜無害な心優しい青年だよ」

「……本当に人畜無害な人は自分からそういわないわ」

「手厳しいなあ。 それより早く名前教えてくれたら、うれしいんだけど」

「え?」

「だから名前。 いつまでも君とかお前とかじゃいやだろ」

「………玲」

「レイ?」

「霧亞玲」

「キリア・レイ? ……東国みたいにファミリーネーム《苗字》が先なのか?」

「ええ。 私、あっちのほうの出身だから。」

「そうか。俺はアーク=レーシュ。 気軽にアークって呼んで」

「……アークはどうして私をここまで連れて来たの?」

 玲は率直に自分の疑問をぶつけた

「なんとなく放っておけなかったから」

「ナニそれ?」

 あきれたように玲は言った

「放っておけなかったって……私そんなに非力じゃないわよ」

「じゃ、なんとなく運命的なものを感じたから、かな?」

「……そんなナンパはもう古いわよ」

「なんだよ、それ」

 むっとした表情でアークは言った。

「本当になんか玲にそう言ったものをかんじたんだぞ」

「そう。」

 頷いてみるも玲は全く信じていなかった。

 本当のことなのになあ、とアークが呟いて見るも無視だ。

「……ところでフード暑くない?」

「別に、平気」

「名前まで言ったら素顔も見せてくれたっていいじゃないか!」

「勝手な男ね」

「せっかく助けてやったのに」

「頼んでなんかいないわ」

「でも、そのままじゃ怪しまれるって! とれ」

 ぐいとアークはマントを引っ張って例からそれを奪った。

 フードの下の顔にアークは息をのんだ。

 それほど、美しい少女だったのだ

 漆黒の黒髪は窓からこぼれる日の光を反射してわずかに青く輝く。

 真っ白い肌は肌荒れできもの一つなく、白く滑らかだ。

 桜色の唇に、整った鼻筋。

 どれもが完璧な配置を施しており、まるで神が作った人形のよう。

 何より目を引いたのは左右違う色の瞳。

 右目が藍、左目が赤紫のオッドアイ。

 大きな瞳はよほど自分の姿を見られたことが嫌なのかわずかにうるんでいる。

「……綺麗」

 ぽつりとアークは玲に呟いた。

 その声を聴き、目を見開いた

「な、何言っているのよアンタ! ……大体の人間は人と違う私の姿を気持ち悪いっていうのに。異民族の私を嫌だっていうのに」

「なんだそれ? 俺はきれいだと思うよ。 まるで村の境界にあった天使の絵みたいだ」

「なにそれ?」

 少女は小さく笑った

「……お、やっと笑った。 なんだ意外とかわいい顔もできるんだ」

 その言葉に玲は顔を赤面させた。

「な、なにそれ? からかってんの?」

「からかってないって。 それにもったいないよ。せっかく美人でかわいいのに顔を隠すなんて」

「アンタバカ? オッドアイの人間なんて大抵が異民族。 今帝国が闘っているのは異民族たちが反旗を翻した反乱軍よ!」

「ああ、知っているよ」

 アークはあっさりと答えた

「でも君は違うだろ?」

「あなたをだましているのかもしれないのに?」

「君が嘘をついているようには見えないよ」

 驚くほどきっぱりとアークは言った。

 そんな彼に玲は小さくバカじゃないのと呟いた。













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