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死神さんと僕

作者: 真夜


この話は、死神という存在を新たに考えていただきたいと思って書きましたw

なんか不思議な感じがしますがちょっと変わった死神さんをご堪能くださいませ。

共感してくださるととても嬉しいです。

 いつも僕の周りには糸だらけだ。

 毎日人が近くに居るたびに糸が見える。

 全ての人の糸が見える・・・しかし肝心な自分の糸が見えない。

 いつから見えるか忘れてしまったが、多分生まれた頃から見えていたわけではない。


 僕はいつも通り公園のベンチでコーヒーを飲む。

 缶を開け、のんびり空を見上げる。

 そこには僕の嫌いな糸はなく落ち着いた気持ちになれる。

 僕の安らぎの時間。

 そんな時間を横切った一人の少女が居た。


「あれ、今……空に」


 気のせいと思って少女が向かった方向を向く。

 そこには先ほどの少女が一人、街灯の上に座っていた。

 何故あんなところに……いやそれより先ほど飛んでいなかったか?

 僕の頭がぐるぐると回転しているがまったく回答が見つからない。

 僕は少女を見続けていると、彼女がそっとこちらを向き目が合ってしまった。

 怒っているだろうか、ジロジロ人のことを見ているのだから怒って当然だろう。

 彼女はこちらを見ると微笑みを返してくれた。

 可愛い……そんなことを思っていると、彼女が街灯からフワッと飛び降りこちらへ近づいてきた。

 

「キミはひょっとしてボクのことが見えているのかい?」


 すぐ傍に立ち彼女が語りかけてきた。

 見えている…なんのことか。

 今そこに彼女はいるではないか。

 そんな彼女にボクはゆっくりと口を開きこう言った。


「見えるよ……」


 不思議だ、人間が好きではない僕が何故彼女に返事を返したのだろう。

 自分でも驚くだけだった。

 

「不思議なものだ、私たちのことがはっきり見える人間は初めて会ったぞ」


 彼女が不思議そうな顔をしてこちらにもう一度語りかけてくる。

 僕は彼女が何を言っているのか、何を考えているのかがまったく想像できなかった。

 だからだろうか、ちょっとした興味があり質問を返してみる。


「見えるってどういうことなの?」


 返事が返ってこない。

 彼女が黙り込んでどのくらい経っただろうか、多分数分だったのだろう。

 黙り込んでいた彼女がすっと僕の横に座り喋り始めた。


「ボクらはキミ達のような存在ではない」

「存在ではない?」

「そう、ボクらはキミ達が言う死神と呼ばれる存在に似ている」


 死神……もしかして今流行の電波系というやつなのか?

 あぶない奴ならどうしようと思ったが少しだけ話したいという気持ちもあった。


「死神って?」

「ボク達は元々姿が無い存在、だが人間の想像によって形を変える存在」

「なんか難しい話だね」


 そう、僕には理解しがたい。

 人間が想像してはじめて形を成すということだろうか?


「難しいことかはわからない。だけどボク達は普段形が無いので人からは見えない」

「それじゃあ今ここにいる君はなんなの?」

「ボクには形が無いが、多分キミが今想像した形をとっているのだと思う」

「僕の想像……女の子にでも会いたいと思っていたんだろうか」

「ボクたちはキミ達が思っている存在とはちょっと違う」

「違う?」


 一体何が違うのだろう?

 死神ってどんなものか考えてみた。

 命を摘み取る存在。その際に鎌のようなものを持って仕事を行う存在。

 一般的に忌み嫌われた存在で、死に関するなんらかの前兆の象徴とされている。

 こんなところだろうか?


「確かにキミが思っている存在と呼べなくは無い」

「存在自体違うってこと?」

「そう、僕たちの仕事は魂の導き」

「魂の導き?」

「キミ達は人が死んだ場合、魂を持っていかれたと思ったり天へといざなわれたりすると考えているのだろう」

「それは違うの?」


 一般的に、死んだものは天へと誘われる。

 その際に、よき人間は天使に、悪い人間は死神に魂を導かれるとされている。


「ボク達はキミ達が思っている、天使や悪魔や死神といった存在全てなんだ」

「死神と天使が同じ存在?」


 死神と天使が同一の存在と思ったことは一度も無い。

 そもそも対立する二つの存在が同じものってどういうことなのだろう?


「人は、死んだ時に魂の導き手が必要となる。導き手はその魂が望む姿へと形を変える」

「つまり、死んだ人がキミ達の姿を作るということ?」

「そう、ボク達はその姿をかりて魂を導くんだ」


 大体わかってきた。

 要するに、死んだ人が悪魔を想像すれば悪魔の姿へ、天使を想像すれば天使の姿へと変わるということ。


「そう、ボク達は姿が無い。だけど姿を借りることによって魂を導く、その際に近くにいる人間がごくまれにその姿を瞳に映すんだ」


 結構難しいし、話が壮大すぎてあまり真実味がわかない。


「ボク達はただ仕事をするだけの存在、何故この世に生み出されたか何故存在するのかはわからない」

「存在理由もわからないのか、ちょっと悲しいね」

「悲しい? 何故?」

「だって存在してるのに、存在理由がないなんて」

「存在理由はそんなに大事なのか」

「大事じゃないの君は?」

「そんなこと考えたことは無い」

「そう、悲しいね」

「何故キミが悲しむ。私は私の仕事をするだけの存在それだけで十分」

「僕もここにいる理由がわからない。いっそ死んで楽になりたいと思う」


 僕は存在する価値が無い。

 人の運命が見えてしまう。

 それはその人から出ている運命という名の糸が指し示している。

 運命の糸とは赤いもので誰かと結ばれているというのが有名だが、僕には違うものが見える。

 その糸は白いもの。

 死期が近づいているものに白い糸が絡み付いている。

 僕はそんな糸だけが見える体質なんだ。


「私にはわからないな。さて……今日は少し長居しすぎた。」


 そう言って彼女が立ち上がる。 


「また、会えるかな?」

「キミが望むなら……」

「じゃあ、また。」

「ああ、良い時間だった。それでは私は行かせてもらう」


 彼女はそう言って、僕が瞬きした瞬間にいなくなっていた。




これは僕が、初めて死神に会って彼女に引かれていく最初のお話。










恥かしい内容を読んでいただきありがとうございます。

少年の名前・死神の名前とか気になると思います。

実際に考えているんですが、何分短編でなんとな~く出したので、長編にする際にちゃんと詳細に書いていくつもりです。


感想など書いていただくと大変ありがたいです。

では、また次の作品で会いましょう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読めない漢字にルビはありがたいです [気になる点] 自分勝手ですが、キャラが弱い気がします [一言] 面白いです
2011/04/28 21:31 退会済み
管理
[一言] お ・ お ・ お も し ろ す ぎ る  ゜ 久々に読みましたよ、こんなに楽しめる作品!! 設定? ってか考え方? 着眼点? うまく言葉がでてきませんが、物書きとして非常に考えさせられ…
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