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『夜明けのゾンビ』 ―無職の俺とポメラニアンにも、世界の終わりがやってきた―  作者: 天本一三


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12月25日

 今日はクリスマス。実は俺の誕生日だ。去年は一応家族に祝ってもらったが、今日はプウを連れて夜の海まで来てみた。クリスマスツリーが無くても、この降るような星空が俺を祝ってくれているように思えた。太平洋の真っ暗な海を見ていると、波の音に誘われて満天の星空に落ちていくようで、少し怖かった。

 電力網は少しづつ復活していっているようだが、今のところ夜間は全面消灯の方針でいくようだ。この星空に見慣れると、それも納得ができた。

 周りを見回すと、結構な数の人たちが来ていたことに気づいた。みんな無言でじっと海を見ている。

 今年は俺にとって、いやみんなにとっても特別な誕生日になっただろう。

 思えば不思議な年だった。今までの社会とは完全に変わってしまった。生きると死ぬの境界が曖昧になり、仕事や肩書きが無意味になっていった。人間はゾンビか、完全に死んでいるかのどちらかしかなくなった。しかもそれは自分では選べない。今までよりもっと自然の法則に任せるしかなくなった。

 何をしてきた人かはどうでもよくなって、過去を見ることで生まれる未来の予想にも関心が薄くなった。人はただ、今だけを見るようになっていった。

 俺も、新しく生まれなおしたような気さえしていた。

「お前も変わったと思うか?」プウは俺の顔を見て首を傾げた。

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