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ラブロード・フレンジー:ゴーストライダーの夏  作者: 白煙モクスケ


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2:悪魔のZⅡ

 橘輪家は沼江津にかなり古くからある一族で、大戦の敗北後は橘輪総業という地場の多業種企業を起こした。建材を商い、建築用重機の整備や修理に販売やレンタル、スクラップヤードで屑鉄の輸出。バブル崩壊後で不動産が下落した後は田畑を買い集めて農業会社を起こしたり、農産物のブローカーをやったり。と手広くやっている。


 その橘輪家分家筋の次女がリコで、中学卒業後は母方――明治の沿岸開発事業に合わせて入植してきた世代の旧家――の祖父母宅の納屋に住み着いている。


 というのも、母方祖父母宅の納屋が長く使われておらず、占有できたからだ。今や改装して秘密基地化している。


 さて。そんなリコの秘密基地な納屋(ガレージハウス)を御紹介しよう。


 まずは地階部分。

 自動車がゆうに二台は駐車できるコンクリ敷きの土間は今のところ、普段使いしている花柄シートの白いダックスとユウゴから預かるヨンダボが主な利用者だ。


 元々の壁棚にはDIY用エアコンプレッサーや電気溶接機を始め、様々な工具や器具が整理整頓されて並ぶ。ワークテーブルが据えられた壁に趣味のサーフィン用ショートボードが掛かっていて、テーブル脇の棚にはヨンダボとダックスの純正や社外など各種予備パーツなどが保管されていた。


 棚の一角に初めて独力で完全不動から直した刈払い機のエンジンが記念に飾ってある。

 納屋の表脇には作業用水場。二階へ上がる階段脇の扉の先にトイレとキャンプ用給湯器で設けたシャワー室がある。


 二階に上がろう。

 パーティションで区切られた居住スペース以外は、様々なガラクタが積み上げられている。


 そのパーティションの引き戸を開ければ、8畳以上の居住スペースがあった。

 フローリングパネルが敷き詰められ、セミダブルの組み立てベッドや衣服用の簡素な組み立てワードロープと収納ケース、小型冷蔵庫が並ぶ。窓エアコンの傍には多目的机とマルチモニターのデカいパソコン。本棚には機械系の書籍や資料本、それと立体パズルの作品やチビの時分に弄り倒したミニ四駆やミニラジコンが並ぶ。


 30インチ程度の4Kテレビとあまり使われていないゲーム機。電子レンジとトースター、ケトルにカセットコンロ。3Dプリンターにはまだ手を出していない模様。

 女子高生らしさを感じないお部屋だ。


 この納屋改造の元手は、()()()()()()()だ。祖父母に家賃も払っている。


 デカいパソコンが明かす事実。

 リコはお金持ち。


 事の発端は妻子のいなかった母方の大伯父が亡くなった際、遺言状により(リコのママ)とその子供(リコを含む孫世代)にもそこそこの額を譲られたこと。


 リコはこの金を元手に中学校進学を機に“投機”を始め(祖父母を口車に乗せて口座等を用意した)、コロナショックとAI関連銘柄の高騰、ロシア通貨危機などを神憑(かみがか)りな精度で全勝ち。リコ自身も意図していなかったほどの大金を稼ぎだした。


 まとまった資産を作ることに成功後、リコは配当と優待を目的にした手堅い銘柄やどう考えても倒産し得ない大企業銘柄以外、株を全て売却。為替も円とドルの現物に換えて口座へ。以後、市場から距離を取った。銀行や証券会社から投資の勧誘が定期的に来るが、相手にしてない。


 なお、リコは大金を持っているけれど、下品な成金共のように暇さえあればパーティしたり、ブランド品を貪るように買い漁ったり、といったことはしない。

 リコ曰く『ユウゴと色々楽しむために作った金だぞ。なんでどーでもいい有象無象と遊んだり、要らんものを買うために使うんだ?(真顔)』。


 愛が激重な女リコ。


 週末の午後。橘輪リコは長い髪をお団子にし、キャミソールと短パン姿で納屋に運び込まれたユウゴのヨンダボを弄っていた。

 ちなみに、ユウゴ本人はリコのダックスに乗り換えて土曜バイトに出勤中。


 壁に掛けた小型ラジオから洋楽を流れ、工業用扇風機がぬるい風を注ぐ中、リコはテキパキと作業を進めていく。


 メーカー不明のトラッカー風・シングルシートと保安部品ごと加工したシートフレームを外し、予備の純正シートフレーム(ネットオークションで安く買えた)に交換。それから二人乗りできるよう純正のリアカウル(これは元々あった)を装着。テールランプやウィンカーにナンバーなど保安部品を取り付け、動作確認。


 リコは展張させたタンデムステップに足を掛け、跨ぐようにタンデムシートへ座る。

 ヨンダボのシート高はノーマルで約76センチ。タンデムシートはプラス10センチちょい高い。車高に車幅分も含めると、平均的女子はもちろん長身男性でもレーサーレプリカのタンデムシートから地面へ足がほとんど届かない。


 レーサーレプリカやスーパースポーツと呼ばれる形式のバイクは根本的に“一人乗り”のバイクだ。純正でもタンデムシートの塩梅はよろしくない。


問い:じゃあ、なんでタンデムシートがあるの?

答え:後ろに恋人や奥さんを乗せることが、バイク乗りの大多数を占める男性ライダーのステイタスであり、欠かせないロマンだからです。だから、よほど小型車かレース用車両でもない限り、絶対にタンデムシートが要求されます(諸説あり)。


 話を戻そう。

 リコは()()()調()()()()()()()()()()、リアショックの感触を確認。長く座っているとお尻が痛くなりそうな程度に硬い。左出しの集合管がステップの真下にあることがちょっと怖い(触れたら靴が焼けるし、火傷する)。まあ、概ねこんなものだろう。


 作業を終え、後片付けも済ませ、リコは工業扇風機前に置いたキャンプチェアに腰かけた。作業用の小型キャンプテーブルへ手を伸ばし、結露塗れのペットボトルを取り、口へ運ぶ。


 ぬるくなったお茶で渇きを慰め、ほっと一息。

「暑いー……」


 今日も今日とて夏の太陽は元気いっぱい。納屋の表は陽光でチンチンに熱くなっている。キャミソールも短パンもブラもショーツも汗でビショビショだ。キャミソールは汗で濡れて透け、生意気な曲線を描くスモーキーグリーンのブラが丸見え。


 リコはキャミソールの裾を大きく持ち上げ、扇風機の送風を取り込む。

「あー……キモチィー……」

 柔肌を濡らす汗が冷やされて爽快感を味わう。


 敷地内の植木や周囲から届くセミの合唱。ラジオから流れる洋楽。夏の蒼穹と白雲。

「海行きたいなー……」


 先週、海開きされて沼江津市内の海浜が開放された。久し振りにサーフィンがしたい。ダックスの車体脇と後部にキャリアを装着して、ボードと着替えを積んで、海まで一走り。


 ――ユーゴにもサーフィンを教えてきたけど、全然上手くならないよなー。チャリンコやバイクは上手く乗りこなすのに。波乗りは全然ダメだよなー。


 そんなことを考えて微笑んでいると、べべべっとダックスの排気音が聞こえてきて、橘輪家の敷地内に入ってくる。

 ユウゴだ。もうバイト上がりの時間らしい。


「ありゃ、もうそんな時間か」

 日が高くて気づかなかったが、時計の針は17時を過ぎていた。


 ユウゴは花柄シートの白いダックスを納屋の前で止め、ヘルメットを脱いで降車。背中に担いだ斜め掛けバックからカップアイスを2つ取り出し、1つと木匙をリコへ渡す。


「「お疲れ」」

 互いに同じ言葉を掛け、作業椅子に並んで座り、カップアイスの蓋を剥がし、木匙で穿る。バニラ味が優しい。


 カップアイスで涼を取りつつ、ユウゴは純正シートカウルに換装されたヨンダボをしげしげと見つめる。

「丸目化に純正シートだと、カウルを壊して直す金がなかった、て印象が強いな」

 そもそも論で言えば、ストリートファイター仕様の原点自体が金のない若者達の改造スタイルである。


「まあ、貧乏臭く感じるわな」

 ニシシと白い歯を見せて笑い、リコは木匙をぺろりと挑発的に舐める。

「ラブロードには何時に行く?」


「20時くらいは? で、日をまたぐ前に帰る」

「ならぁ……」リコはモジモジとしつつ上目遣いに「久し振りに……ラブホ行こ?」


 恥じらいと素直な欲求を浮かべるリコの様子に、ユウゴは少しばかりSな微笑を湛え、

「ラブロードでマシンを乗り回したら」

 隣に座るリコの耳元へ唇を寄せ、囁く。

「ホテルでリコを乗り倒してやるよ」


 冷たく煽情的な言葉と吐息に耳をくすぐられ、リコはゾクゾクと昂るように身を震わせた。“スイッチ”が入ったように蕩然とし、潤んだ猫目でユウゴを見上げ、その手を掴む。

「一回だけ……今、一回だけシよ?」


 言葉一つであっさりその気になったカノジョへ思わず微苦笑し、ユウゴは身体を離す。

「ダメだ。しないよ。ラブホ行くまで我慢な」

「なんでだよ! 据え膳食わぬは男の恥だろ!!」

 真っ赤な顔でぷりぷり怒るリコに、ユウゴは涼しげに目を細めた。

「リコはお預けした方がエロくなるから」

「~~~~~~~っ!」

 羞恥でさらに顔を赤くし、リコは腰を上げてSな彼氏をべちべちと叩いた。


 けしからぬ。


       ○


 粘つく湿気に満ちた週末の夏夜。

 ラブロードの始点傍にあるコンビニの駐車場には、沼江津の海風が届かない。


 午後8時半。ユウゴがタンデムシートにリコを乗せ、ラブロード55に挑戦するパープリン達の溜まり場へ向かっていた。


 普段以上にリビングデッドなヨンダボを運転するユウゴは、ライダー用プロテクター入りの赤黒メッシュジャケットとキャメル色ストレッチカーゴパンツ。万一事故っても運がよければ背骨と両肩肘と膝は守られよう。


 タンデムシートに座り、ユウゴの腰に両手を回して身体を密着させるリコの方は、プロテクター入り白いメッシュジャケットにデニムパンツ。ちなみにジャケットの下にホルターネック・ノースリーブのスポブラだけ。気分はもうラブホ。


 週末の夜だからか、コンビニの駐車場は平日の夜に比べて“それっぽい”連中が目立つ。

 バイクは大型に中型のスーパースポーツ。高速ライディングを想定しているらしく、プロテクター付きのウェアや公道用ライダースーツを着込んだ者ばかり。車は軽量から中量級のスポーツカーが多い。ドライバーは真面目そうな奴から如何にもな輩が揃っている。高校生らしき若人から孫がいそうな初老まで。ロクデナシのスピード狂共が雁首を並べていた。


 既に走り始めているのか、走行タイムや交通状況について語り合っている連中も多い。


「お。ヨンダボ小僧。今日はカノジョ連れか? まさかカノジョをここに置いて走りに行く気じゃねェべな? ろくでもねー奴らに攫われちまうぞ。特に俺が危ない」

 顔見知りのハチロク乗りが早速声を掛けてきた。冗談がなんとも笑えない。


 実際、この手の溜まり場でギャラリーの女の子がロクデナシの車に引きずり込まれ、人気のないところへ連れていかれて乱暴される、なんてのはチラホラ聞く話。


「今日は冷やかしです」とユウゴは小さく肩を竦める。

「なんか今日は趣の違うのが多くないです?」駐車場を見回しながら、リコが言った。


 リコの言葉通り、スピード狂い達に交じり、柄の悪そうなのがチラホラ。

 乗っている車もかっ飛ばすためのものではなく、田舎のヤンキーが好む低車高化したセルシオやマジェスタ、無駄に弄ったワゴンRに古いモデルのヴェルファイア。バイクはまあ、どう頑張ってもSSやレーサーレプリカに勝てない族車崩れが数台。

 ラブロード55にはそぐわない連中だ。


「ああ。あの連中な。なんか火の玉カラーのゼッツーがどうのこうの言ってンだわ」

 ハチロク乗りが不快な顔つきで鼻を鳴らした。

「大方、負けたか事故ったかしたカエシがしてェんだろうけど、なんだかなぁ」


「ハチロクさん、そのZⅡについてなんか知ってます?」

「いや、全然。ZⅡなんて何年も現物拝んでねェわ」

 ユウゴの問いかけに肩を竦め、ハチロクは横目にリコを見て、言った。

「カノジョ連れなら絡まれねェように気ィ付けろ。あの手の奴らは面倒臭ェからよ」


 正しい注意喚起だ。ユウゴは首肯し、リコへマシンに乗るよう目配せした。

「じゃ、また」

「カノジョ乗せてンだ、無茶すんなよ」

 ハチロク乗りと別れ、ユウゴはリアシートにリコを乗せ、早々に溜まり場のコンビニを発つ。


 リコはユウゴの腰に両手を回し、身体を密着させて名門アライのヘルメット越しに告げる。

「よし、ラブホ行こうっ!!」

「肝心の目的を忘れてないか?」

 ユウゴは笑いつつ、マシンをラブロードへ向かわせた。


      ○


 公道でかっ飛ばすバカ共に対し、道交法云々や走行マナーうんぬんを説く良識派皆様の御意見は概ね正しい。

 何より『かっ飛ばして走りたいならサーキットへ行け』という御意見。

 その手の意見は走り屋と呼ばれる連中に、決して届かない。


 なぜなら、アホだからだ(暴言)。


 こういう連中にとって道交法や走行マナーを説き聞かせても、警察に捕まった時の代償を説諭しても、死傷の危険性や他人を巻き込む問題を説教しても、何の意味もない。むしろ、この手の連中はそうした法律やルールやマナーを破る背徳感やスリルを好み、我が物顔で公道を走り回る。

 そういうアッパラパーなパープリンが、走り屋と呼ばれる奴輩なのだ(偏見)。


 まだ歳若いのに、そんなスカタン共の仲間入りしているユウゴは、後ろにリコを乗せたままラブロードを120キロほどで巡航していく。


 “ほどほどの速度”でラブロードの道路状態や交通状況を確認しつつ(公道は常に何があるか分からない)、タイヤを温める。


 夜のラブロードを無難にひと往復し、始点に戻ってきて路肩に一時停車。

 週末の夜とあって一般車の交通量は少ない。が、ラブロード55に挑むノータリン共がちらほら。

 路面は良好。気温は30度ちょい。湿度は高め。タイヤも温まった。次からはもっと“強気”でいける。


「大丈夫か?」

「へーきへーき。ジェットコースターの方が怖いぜ」

 ミラーシールドを上げてユウゴが肩越しに窺えば、リコもシールドを上げて強気な微笑みを返してきた。


「次は少し“強気”にいく。キツかったら俺の右腿を叩いてくれ」

「おーらい」

 リコはヘルメットのシールドを下げ、ハルチカの腰に両腕を回し、ぎゅっと強く抱き着く。長い両足を畳み、両膝でハルチカの身体をがっちりと挟む。色気もへったくれもない。


 2人を乗せたフランケンシュタインなヨンダボが走り出す。


      ○


 ユウゴの運転からリコへの気遣いが消えた。リビングデッドなマシンが大気を引き裂き、ラブロードを駆け抜けていく。


 時速150キロを超す世界。

 体を襲う走行風は圧力は暴力的。路面のわずかな凹凸もマシンを振るわせ、リコの理性を削っていく。恐怖よりも畏怖が優る速度は息をつまらせ、月夜の闇が消し飛ぶような疾走感はリコの視界をたわませる。しがみつくように抱きしめるユウゴの身体からは温もりも鼓動も伝わってこない。


 世界にある音は三つだけ。

 自分が組み上げた直4エンジンの歌声。継ぎ接ぎのエキゾーストが奏でる音色。ヘルメット越しに響く風切り音。


 右へ左へ軽やかに車線を切り替え、フランケンなマシンが一般車を颯爽と追い抜いていく。

 後ろにリコを乗せているため重心移動の体捌きは少ない。いつも以上に繊細で緻密なアクセルワークとシフトワーク、ブレーキワークを繰り返す。


 さして長くないストレートで獰猛に加速し、コーナー手前でわずかに減速し、大気を裂くように素早くコーナーを超え、再び苛烈な加速。

 エンジンの激しい鼓動に合わせ、フロントやリアショックの運動に合わせ、頑健なフレームが身を捩るようにしなり、スイングアームが屈伸を繰り返す。


 滑らかで流麗な走りをするマシンとユウゴから伝わる飢渇。


 足りない。こんなものでは全然足りない。


 もっと速く。もっと速く。


 もっと。もっと。


 もっと。


 スピードが全てを削ぎ落すまで。


 ユウゴが持つ狂気性と病質性を感じ取り、リコは思わずヘルメット内で嘆息をこぼす。

 ――こいつの心は壊れたまんまか。


 一体と化した人機にリコが入り込む余地はなく、一体と化した人機がリコを見ることもない。今、この刹那。互いの身体が密着しているのに、リコはユウゴとの距離を果てしなく遠く感じる。


 初めてユウゴとタンデムした時、リコはこの冷たい心情を読み取り、残酷な距離感と冷酷な孤独感を覚え、エンジンの絶唱に負けじと大声で叫びたくなった。エキゾーストの熱奏を掻き消さんと大声で喚きたくなった。ちっとも優しくない風切り音を消し飛ばさんと大泣きしたくなった。そんな激しい衝動に駆られたものだ。


 今はもうそんなことはない。

 ユウゴの心がどれほど壊れてるか知っているから。


 リコはユウゴの体を掴む手足に力をこめ、より強く身体を密着させ、抱きしめる。

 ――ユウゴが独りでスピードの世界にいようと関係ない。“アタシ”は絶対に放さないし、絶対に離れない。ユウゴは“俺”のものだ。


 依存や執着にも似た感情で子泣きジジイの如くユウゴにしがみつき、リコは昭和の演歌に出てきそうな高湿度な女の情念をおどろおどろしく漂わせる。


 そんなリコのねっとりとした深く強く重たい心情を余所に、ユウゴはただマシンを激走させ続ける。飢えた鮫が獲物を求めるように。

 

 もっと速く。もっと速く。

 

 スピードが全てを削ぎ落すまで。


 その時。

 背後から複数のヘッドライトと騒々しい排気音が届いた。


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長編作品(いずれも未完)

 転生令嬢ヴィルミーナの場合。

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おススメ短編。

 スペクターの献身。あるいはある愛の在り方。

 1918年9月。イープルにて。

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