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三日月
「博士、実験は成功したのでしょうか?」
「どうじゃろう。大気組成はそれらしいが、まだ分からんのう」
宇宙服を着込んだ博士と助手が、計器を片手に辺りを練り歩いている。
「!? 博士、空を見て下さい!!」
「おお!! 実験は成功じゃな!!」
闇夜の雲間から見えるのは、大きな三日月。ぽっかりと丸く抜けた外縁が、クロワッサンの様な形を呈して空に浮かんでいる。漫画に書いたような、漫画でしか見れないような、とても魅力的な月である。
「この月の大きさ、そして地球の影の小ささ! 月との距離がずっと近かった、40億年は昔の月食じゃぞい!」
「タイムトラベル、成功しましたねぇ!」