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キャットファイトだからか? と俺は猫娘を送り出す

俺と赤毛がボコり合った決闘場には、今やリイナとピンクが向かい合って立っている。俺と赤毛の時と違い二人は中心に立たず、六人の騎士が作る輪の端と端という位置関係だがな。

俺はどうしてこうなったのかと小首を傾げ、俺達のチームリーダーへと尋ねた。

いつの間にか彼がレフリーになっているようだしな。


「どうした? 普通はシャンナ対ピンクだろ?」


「君が始めたんじゃないの。団体戦の勝利条件はいつでも、いくつ勝ち星上げられるか、でしょう。王子チームはピンクが決定権を握っているらしいね。きっと彼女はリイナとだったら勝ち星を上げられると踏んだんだろう」


「ピンクはかなり強かだな。三人もの男を手の平に転がしているだけある。それでピンク戦の次は、将来は宮廷魔導士長らしい灰色のガキとシャンナとなるのか」


「俺にまで回って来ないことを望むよ。勝ち星二つ上げた方が勝ちだ」


「三つじゃね?」


「赤毛が君に倒されたことを無しにするんだ。君と彼抜かしての三対三、でしょ」


「うわ、情けねえ。格の違いをあの王子に教えてほしいと、俺は君に望むね」


「レットたら。それは出来ないの。アレンが王子をやっちゃったら、馬鹿親のフランドール国王が黙っていない。フランドール国が平和ボケなのは金があって裕福な国だからよ。そんなフランドール国とギルドの関係が悪くなったら、ダイレクトに困るのは私達。だからアランは政治を考えて負けるつもりなのよ」


俺は口を挟んで来たシャンナを見つめ、すまん、と謝った。


「考え無しだった。君にバカだって思われるだけあるよ」


「あなたをバカだなんて思って無いわ」


「そうか君は優し――」

「確信しているのに今さら思うか、馬鹿!!」


「胸が痛い。アレン!!君の胸を貸してくれ!!」


「いや。まずは君の胸をリイナに貸すべきかな」


俺はハッとして決闘場へと振り返った。

リイナの職種は盗賊。

盗賊は、チームから追放されやすい職種リストに常に載る。


その理由は、盗賊職種では魔物とは戦えないからだ。


確かに、初期チームにとっては、アイテムドロップ率や経験値倍増は魅力的だ。

しかしチームランクが上がって難易度クエストを受けるようになれば、非戦闘員の存在こそが足手まといに感じるようになるのである。

ドロップするアイテムや経験値増加など、たかが知れている、からね。


そんな戦えない職のリイナが、攻撃魔法も持っているらしい聖女と戦わねばならないとは!!


「ステラカルカルス!!」


ピンクの大声がフィールドで響く。

ピンクは声を上げるだけでなく、デコってある輪っかの付いた杖を振った。

(魔法の杖を本人がアイテムボックスで隠していたわけではなく、あの灰色魔術師が自分の魔法鞄でピンクさんの杖をお持ちしていたとは。生の棒も出し入れする間柄じゃ無いといいね、王子)


ピンクが繰り出した光魔法、こぶし大の五つの光の玉という攻撃魔法が、リイナ目掛けて飛んでいく。

ファイヤーボールの光タイプなのかな。


「ひゃあ」


リイナは悲鳴を上げてぴょんと飛び上る。

リイナに向かった光の玉は、リイナがいた場所をすり抜けて全て地面に落ちた。

小爆発を起こしながら。


あれが当たったら、確実にリイナは大怪我をしていたな。


ニヤリと笑って杖を構え直したピンク。

ピンクは宙に浮いているリイナに特大の攻撃をするつもりだ。

そう、攻撃をかわす時にジャンプするなはそういうことだ。

中空にいる人間は動きが制限されるため、単なる的になってしまうのだ。


「さあ、最大出力のライトフレイヤを――」

「びえええええええん」


リイナは身を捩って泣き出した。

そして反撃するどころか、そのまま無防備この上ない感じで、地面にぽそっと落ちたのだった。


え? 

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