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雑文2 三匹の子豚と白雪姫

文章の訓練として書いたものですが、こちらに移動させます。本文は変なことをしようとして、角ばった感じになり、僕は好きじゃありません。

 昔々、あるところに、三匹のこぶたがいました。彼等はいつまでも春の陽気のただ中にあるような田園で育ちました。そこは一年間ずぅっと暖かくて、台風も雷鳴も竜巻も大雪もないところでした。雨は時々ふりますが、しとしとぬるい雨ばかりでした。朝はニワトリが鳴いておこしてくれ、朝ごはんは落ちている木の実を自由に食べられました。お昼は鳥が懸命に歌っている中で、柔らかい草の上にごろりと寝て、ぐうたらとお昼寝することもできました。お日様が本当に具合よく照ってくれるのでご飯には全く困らないのです。夜は満天のお星様とまんまるのお月様の下で、ぐっすり眠れました。だから、こぶた達は、トンチキで、頓馬で、のろまで、ばかで、ぐうたらで、泣き虫で、甘えん坊になりました。それも仕方ないのかもしれません、いや、当然です、こんな甘ったれた土地で育ったのですから。

 そんなある日、母ぶたが、こぶたたちを家から出しました。こんな怠け者だから当然でしょう。母ぶたはこぶた達を甘えさせておくのに嫌気がさしたのです。

 家を出された碌でもない三匹は、銘々の家を建てることにしました。しかし、残念なことに彼等と環境の性状はぬるいから、雨風さえ凌げれば、それで十分だったと考えたのです。

 一番上のこぶたは、醜悪で憎ったらしい顔つきの、(特に口元が嫌ね、笑窪なんて大嫌い)、短くて貧相な手足を持っていましたが、藁で家を建てました。哀れなくらい貧乏だから見窄らしい藁しか買えなかったのでしょう。それもこのブタは不器用だから建て付けも見栄えも悪い家しか建てられないのです。だのに、一丁前にその陳臭い家を構えたものですから、ああ、これは具合が悪いわ!哀れで嘲笑にも如かない。呆れを通り越して気恥ずかしいくらいでした。

「僕は早く作りたいからね。」と宣います。

 [なによ、気に食わないんなら、やめたって構わないわよ]。

 ——真ん中のこぶたは、無塩のお多福で潰れた細い目をしていましたが、木で家を建てました。木は藁よりは丈夫ですが、このブタは盲なのか気違いなのか腐ったブヨブヨの木を使ったのです。やはり、その潰れた目では何も見えないのでしょう。ここまで来ると節穴ですらないです。この瞠然とさせる盆暗は腐朽した家を誇らしげに構えました。ちゃんちゃらおかしくて見ていられません。

「僕も早く作りたいからね。」と宣います。

 最後のこぶたは、卑しく釣り上がった鼻と陋劣なちぢれた耳をしていましたが、レンガで家を建てました。レンガは藁や木よりも遥かに丈夫です。このブタは運だけは良く、当たり障りないレンガを選んだ為、三匹の中で最も頑丈な家を建てました。ただし、見栄えの方は残念でした。

「僕はつよい家を作りたいからね。」と宣います。

 ある日、絶勝の森に住む、大きな狼がやってきました。美しく毛並みの整った素敵な狼は空腹を満たす為に豚共を食べる事にしたのです。

 ——[いや、そう、やっぱり気に食わない。これじゃまるで——そう、アンタが愛されてるのが、やっぱり釈然としない。アンタは少しばかり若いだけじゃない。今度帰ってきたら聞いてみようかしら]。

 まず、一番上のこぶたの家に行きました。狼は扉を叩いてこう言いました。「こぶたさん、こぶたさん、おれを中に入れておくれ。」不潔なブタは答えます。「いやだ、いやだ、入れてやるものか。」

「それなら、今から、大きく息を吸って、フーッと吐いて、家を吹き飛ばしてやる。」

逞しい狼が大きく息を吸い込み、フーッと吐き出しますと忽ち、汚臭のする藁の家は霧散しました。情けない一番上のこぶたは風に吹かれた塵芥のように二番目へ遁走しました。空腹な狼は権利を主張するが如く正当性を持って、非常に華麗で優美な歩を勇猛果敢と進めていきました。鼻息が雪のように白く、誠にヒロイックな有様でした。更にその、茶色い毛並みは非常に雄々しいのでありました。

 [アンタは見れば見るほど不細工な子ね。あの人血が入っていてそうなんだから、アンタのお母さんは相当凄かったのね。それなのに全く、あの人はどうしてアンタなんか気に入ってるのかしら。それほど、血縁ってのら強いのかしらね。——そんな羊みたいな冴えない阿保面で見ないでくれる?あとそのみっともない口も閉じなさい]。

 狼は、闊達に大陸的に、二番目の家へと闊歩しやってきました。狼は扉を力強く叩いてこう言いました。「こぶたさん、こぶたさん、おれを中に入れておくれ。」無精なブタは答えます。「いやだ、いやだ、入れるものか。」

「それなら、今から、大きく息を吸って、フーッと吐いて、家を吹き飛ばしてやる。」

強靭な狼が深く息を吸い込み、フーッと吹き掛けますと立ち所に、腐臭のする木の家は瓦解しました。腰抜けの軟弱な二匹は兄である立場を忘れて見苦しく三番目の家へと逃走しました。強硬な狼はますます大股に、ますます勇壮に、三番目の家へ向かいます。

 [どうもこのお話は癪に触るし気に食わないわね。どんな形式であれ、アンタが志向されるなんて、本当に気に食わない]、

【お母様、早くお話の続きをして?】

[へえ。それが役割って事ね。その真っ白けな顔を潰してやりたいわ]。

 最後に猛々しい狼は、三番目のこぶたの家に行きました。狼は有りっ丈の力を持って、扉をドンドンと叩いてこう言いました。

「こぶたさん、こぶたさん、おれを中に入れてくれないか。」気の毒なブタ共はひ弱な声で答えます。「いやだ、いやだよ、絶対に、入れるもんか。」

「ああ、そうかい、わかった。」

狼は深く大きく息を吸い込み、憎体なレンガの家に吹っ掛けました。しかし、レンガの疎屋は腹立たしい事に微動だにしませんでした。ですが、知恵のある狼はこの程度では諦めませんし、頑強な肉体を持っている為全く疲労を感じておりませんでした。

 「ならば、火をつけて、お前達諸共焼き殺してやる。」

狼は松明に火をつけて、レンガの家の窓に向かって勢い良く投げつけました。しかし、松明の炎が燃え移る事はなくその場に落下して草むらを焼き払うことしかしませんでした。苛立った狼は家の壁によじ登りこう言いました。

「ならば、煙突から入って、お前達を食い殺してやる。」

 狼は煙突に登って、勇敢に頭から突っ込んで行きました。しかし、卑怯で、下劣で、下衆で、性根の腐ったこぶた共は鍋に溶岩のような熱湯を臆面もなく用意していたのです。可哀想な狼は真っ逆様に鍋に落ちていきました。すると、悲鳴と共に、狼の頭が鍋から飛び上がりました。胸の辺りまで見えましたが、爛れて真っ赤になっており、酷い火傷を負っていました。狼は踠いて、悶えて、鍋から這い出ようとしました。しかし、死神の様に無慈悲なブタ共はそれを許しませんでした。残酷なブタ共は這い上がる狼の頭をハンマーや角材で殴り付け、力任せに鍋の蓋を上から叩きつけました。更に熱湯を顔面に叩きつけ、石を投げつけました。狼の抵抗は次第に鎮圧されて行きました。そして、無慈悲なブタ共は鍋に完全に蓋をしてしまいました。鍋から狼の苦悶する声が聞こえましたが冷徹なブタ共は聞きやしません。そうして遂に、狼の声は止んでしまいました。美しい狼は事切れてしまったのです。

 かなり長いこと煮込んだ後、生まれ損ないの極悪共は鍋を丸ごと川に投げ捨ててしまいました。そうして、この屑共は未来永劫、温々と暮らしていくのでした。

 [はは、愉快ね、私が読み手なのだから、いくらでも曲説出来るのよ。アンタが煮詰めて殺したのよ。これで忌々しい苦悩から脱出できるわ。アンタはもう志向されるものでもなんでもないのよ、アンタに血縁があろうともね。このお話のお陰でアンタは別の次元に移ったのよ。これで安心して眠れるわね。アンタはさながら白雪姫なのよ!それも永遠に王子のやって来ない!]

 {何をしてるんだ?}。

[いや、違う、これは、その]——

【私は怯え疲れて、眠りについていた】。

彼女の見た夢は足裏の免れぬ灼熱に踊る女の夢だった。

三匹の子豚と白雪姫を混ぜて書こうとして、謎の形式を意味もなく取り出してしまい、物語として破綻してしまっています。これは失敗です!

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