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白いごはん

作者: 松本ねね

私、おひとりさま歴15年。


SNSの友達が「再婚はともかく、少しは男っ気が有ってもいいんじゃない?」と、私に。少しは男っ気ってどういうこと?と聞き返すと「男性ってことよ」。


 夫が亡くなって、娘と二人で私たちはひっそりと暮らしてきた。少なくとも私は、ひっそりと!!だ。ところが友達は「これから先、まだ長いのにずっと独りでひっそりと、なの?」と。独りでひっそりのどこが悪いんだ!?と、聞き返しても友達の返事は、答えになってない。だが、何となく分ってきた。つまり、独りでいても楽しい時間を、二人で共有すればもっと楽しいはずだ。もっとも、これはあくまでも私の考えで、相変わらず友達の答えは曖昧だが、ちょっとだけ真剣に考えてみた。


 今まで考えもしなかったが、この先ずっと独りは確かに味気ないかも知れない。だが、気楽なのは確かだ。今さら誰かと一緒に住んで、家族以外の相手に気を使うのは、このうえなく面倒だが反面、楽しさがプラスされるかもしれない。そんな気持ちに傾きかけた頃、友達にやや強引に勧められ、興味半分で登録してみた。


 登録して1ヶ月半が経った頃、54才のカレと出会った。切っ掛けは 便利なツール。近頃のシングルがよく使うマッチングアプリだ。


ある日私に〝お気に入り〟の通知が届いた。

どんな人だろうかとプロフを見ると、カレの顔・体型が私好み♡だが、年齢を見て愕然とする。年齢差、ほぼひと回りも違う。私の弟よりずっと若い。どうする? ほっとこう!でも 気になる…。

2日悩んでまた写真を見る。すると『たかが〝いいね〟だ!深く考え過ぎるな』と、もう一人の私が背中を押した。その勢いでカレにメッセージを送る。


「いいね!! 有り難うございます

 でも、年齢差 気になりませんか?」


直ぐにカレから「元々年上好みだし、写真を見て綺麗な人だなと思ったので」とドキッとする返信が来た。それから1時間ほどメッセージの交換をしてLINEに移り、やり取りは深夜まで続いた。

翌朝、カレからのLINE「おはようございます。家の中も片付いたので出かけます」

私はベッドの中から、いってらしゃい⤴のスタンプで見送る。


出かけます…の行先は、別の人との初デートかもしれない。でも いいんだ、それが普通だもの。年齢差を考えれば、余計なやきもちを妬かなくてすむ。この年齢になってまで嫉妬するのは疲れるし、楽しい方を優先しよう。


 カレのお相手は、ほぼ40代。私とは20才の差がある。そんな彼女たちと競争する気力と体力は、今の私にはない。時々、私のところへ戻ってくればいい。


だから私は、おかずとご飯のバランスを崩し、うっかり二口残ってしまった白いご飯でいい。その二口残ったご飯をどうするか。お味噌汁をかけて流し込むか、そのまま口に入れるか。どちらにしろご飯好きなら残さないだろう。


だから私は、二口残った 白いごはんでいい。


疲れる恋愛はもういい。お腹がいっぱいだ。

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