16「というわけで滅ぼすんじゃね?」①
ごろん、と名も知らぬ王と王妃の首が床に転がった。
唖然とする一同。
夏樹は次の獲物を決めて襲い掛かろうとしたが、
「な、なんということだ! ――よくぞ、この醜い欲望の塊を殺してくれた! 勇者は本当に勇者であった!」
などと、宮廷魔法使い筆頭がそんなことを言い始めたので、少し話を聞いてみることにした。
「私は常々思っていたのだ! このように己の欲を満たすことしか考えず、支えがなければまっすぐ歩くことさえできぬ愚鈍な王に仕えるのは懲り懲りであると!」
トマスは、転がった首を拾い、窓の外に放り投げた。
「これからは、私が王になろう! 王家の血を引く人間は全て根絶やしだ! この国で一番強い私こそが王に相応しい! 私自ら手塩をかけて育てた兵士たちを率いて、近隣の国を支配してみせようではないか!」
唾を飛ばし、血走った目をしたトマスは、今こそが絶好のチャンスだと考えたらしい。
「まずは、王子たちを殺してしまおう。どうせ贅沢しかできぬ者だ。いてもいなくても構わん。――ついてまいれ、勇者よ! 我が手足となって戦ってもらうぞ!」
「なんでやねーん!」
「――ぷぉ」
夏樹はツッコミと共にトマスの両手足を斬った。
一瞬だけ宙に胴体だけが浮いた状態になったトマスの腹部に剣を刺し、壁に縫い止める。
「あ、あ、あ、あぁ?」
「あのね、俺からしたらそこの太った王様も、あんたも言ってること同じなの。だから……どの口が言ってんだぁあああああああああああああああああ!」
聖剣を抜き、雷を放出させた。
トマスが一瞬で炭化する。
この場にいた兵も、貴族も、文官も、平等に炭となった。
「俺は怒っている。なぜなら、この世界はクソだからだ! こんな人間がもうすぐ天下とるみたいな国は、だいたい他の人間もクソだ! だから、滅ぼしていい! 千手さんもそう言ってた!」
バチバチと音を立てて放電する。
魔力と雷が踊り狂う。
夏樹が歩くだけで、周囲の壁や床、天井が崩壊していく。
「恨むなら門の神を恨めよ。俺は、この世界の人間にはなにもしてやるつもりはない。最初の対応を誤った奴らが全部悪いってことで、ひとつよろしく! ってことで、絶望の時間だぁあああああああああああああああああああああああ!」
「さくっと滅ぼして元の世界に帰るわよ!」
「ひゃっはぁああああああああああああああああああああ!」
「…………テンション高すぎるんじゃない!?」




