11「絶望するんじゃね?」②
絶望の神の絶叫に、小梅たちが気まずそうに円陣を組んで顔を突き合わせていた。
「どうするんじゃ? なんじゃが、夏樹のせいで絶望の神が絶望するとかいうわけわからん状況になっとるんじゃが」
「実際、私たちも絶望はしていないっすからねぇ。夏樹くんがあれだけ余裕あるっすのに、どう絶望しろと?」
「そうじゃよなぁ。俺様賭けてもええぞ、夏樹はまた帰ってくるんじゃ。門の神が一日三度力を使えるとか言っとるんじゃが……あと一回しか夏樹を異世界送りにできないってわけでのう」
「三度目が終わったらぶっ殺される未来しかねえっすね」
小梅と銀子の言葉に、一同が「うんうん」と同意する。
「問題は、由良が帰ってくる前に俺たちが持つかってことだ。姐さんはさておき、俺たちは人間だ。鬼もいるが、神ほどじゃねえだろう」
「ダーリン! 姉貴の長年のいじめに耐えたあたいらがあんな神にビビるとでも思ってるのかよ!」
「悲しいな、おい!」
「千手と虎童子の夫婦漫才はさておくとして――」
「やだ、夫婦漫才なんて。ぽっ」
「ちょ、姐さん!」
「余裕なくなった奴は、どーせここから単調に味方集めて襲いかかってくるんじゃろうし、気を引き締めるんじゃぞ!」
「――応!」
全員が気合を入れていると、義政が手を挙げた。
「なんじゃい、義政?」
「とはいえ、夏樹さんが帰ってくる前に――絶望の神を倒してしまっても問題ないですよね?」
「さすがの貫禄じゃ! 絶対、中の人おるじゃろ!」
「中の人? 僕わかんない!」
「そういうとこじゃぞ!」
この場にいる全ての者が、義政でさえ、絶望していない。
絶望の神であるぜっくんにとって、この状況をどう思うのか、小梅たちはしるよしもないし、興味もない。
「貴様らぁあああああああああああああああああ! この私を、無視し、絶望しないとはぁああああああああああああああああ!」
ぜっくんの絶叫が響く。
もう余裕がないのは向こうだった。
「やってくれたな、由良夏樹。まあいいさ、お前はもう帰ってこられない。あとは、仲間たちを殺せばいい。俺も遊びなしでやるぞ」
夏樹に散々斬られて回復に時間がかかっていた門の神も立ち上がり、小梅たちを睨む。
「さあ、集え! 絶望的な、私の配下たちよ! 新たに生まれた神々! 我らと共に新たな神話を作ると決めた同胞よ! 絶望的に、神話をはじめようではないか!」
ぜっくんの呼びかけに、強い力を持つ男女が現れた。
全員が、神か魔族だ。
その数は、七人。
「ほう、そこそこやりそうな奴らを連れてきたようじゃのう」
小梅は余裕だが、銀子たち人間は冷や汗を流していた。
――かなり強いとわかったのだ。
鬼三姉妹は、やる気満々で拳を握りしめて笑顔を浮かべている。
全力で戦えることが嬉しいのだろう。
「――待て、動画配信の神や、ほかはどうした?」
門の神が問うと、長い髪を持つ神が気まずそうに言った。
「動画配信の神は……まもんまもんという言葉を言い残して消滅しました」
「なぜだ!?」
「他の神や魔族は――」
女性の声を引き継いだのは、空からの声だった。
「僕たちが倒させてもらった」
「苦戦したがな!」
「それでも数は削らせてもらいました。少しでも役に立てていれば、光栄です」
白い翼を広げる三人。
「吉田、山田、金田! ようやった!」
天使たちがぜっくんの戦力を削っていた。




