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異世界から帰還したら地球もかなりファンタジーでした。あと、負けヒロインどもこっち見んな。  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
5章

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89「河童勇者メリーさんじゃね?」①





 安部家当主――安部康平は、座敷にあぐらをかき、輝かしい未来へ想いを馳せていた。


「碌なガキどもではなかったが、まさかこうして父の役に立つとは……一度は殺しておけばよかったと思ったが利用できる可能性があると見逃しておいてよかったよかった」


 言うことを聞かない長男をはじめ、安部五兄妹は安部家に早々に見切りをつけて出て行ってしまった。

 長男安部東雲が京都最強の霊能力者と持ち上げられているが、それでも最も古く力がある一族は安部家であり、その当主であるのは康平だ。


 かつて、いずれ楯突くことはわかっていたので、早々に殺しておこうと考えたこともあったが、しなかったのは親子の情ではなく、次の世代の優れた子を作るための道具にしようと考えていたからだ。

 しかし、康平の目論見は失敗する。

 安部東雲が規格外すぎた。

 幼くして、歴代最強と名乗ることなどできなくとも、それなりに優れていた自分を徹底的に痛めつけた。

 当主の座を要求されるかと思えば、見切りをつけたとばかりに弟妹を連れて出て行ってしまう。

 路頭に迷うことを望めば、住まいも仕事も見つけ、順調に生活をしている始末だ。


 父親として誇らしく思うことができればよかったが、康平は親としての情などすでに持ち合わせていない俗物だ。

 子供達がいい暮らしをしていることをただただ恨めしく思うだけだった。


 新しい子供を作ろうとしても、妻はもう子を産める年齢ではない。ならば、次の女を――と考えても、霊能関係の一族たちは口を揃えて「安倍東雲ならまだしもお前のような落ち目の中年に娘や孫を差し出すわけがないだろう」と馬鹿にされた。


 安部東雲は、歴代の安部家当主とは違い、柔軟だった。

 安部家こそ一番だと思って他家を見下していた歴代たちと違い、友好的に、むしろ、下手に出ていた。

 そんな息子を恥知らずと笑っていた康平だが、たった数年で、気づけば大半の家が安倍東雲こそ安倍家当主に相応しいと刷り込まれていた。

 反論しようにも、康平は愚か者ではない。自分の実力が東雲に遠く及ばないことは理解していた。

 ここで頭を下げるなり、なんなりして形だけでも和解していればよかったのだが、康平にはできなかった。


 安倍一門は大きく衰退してしまうこととなる。


 そんな折、鬼との共存を願う穏健派の霊能者たちと繋がりを得て、さらに鬼とも繋がった。

 いいとこ取りをして京都の地位を取り戻し、いずれは大きな顔をする「院」さえも支配下に、と考えるまでに至った。


 だが、そんな都合のいいことなど起きるはずはない。

 穏健派の中でこっそり動いていたことも東雲に伝わっており、鬼たちも頂点である茨木童子を失っている。



 ――そして。



「こーんにーちはー! からの、ギャラクシー河童勇者斬りZAMAA!」



 生き生きとした聞き覚えのない少年の声と共に、長い歴史を持つ安倍家の屋敷が真っ二つにされた。




「なにごとだぁああああああああああああああああああああああ!?」




 謎の一撃が屋敷を襲ったが、よほど切れ味が良かったのだろう。

 屋敷は両断されても崩れてくる気配がない。

 しかし、これは大事だ。


 安倍家には結界が張り巡らされている。

 安倍家の人間か、招かれた者でなければ入ることはできない。

 とくに人外に対しては、毒となる結界だ。

 まず人間が白昼堂々襲撃などするはずがないと言う考えからの結界の効力だった。


 康平は慌てて立ち上がると、知らぬ気配のする方向に足を早める。

 そして、苦虫を噛み潰した顔をした。


「東雲ぇ! まさか子が親に弓を引くというのか! そんなに私からすべてを奪いたいのかぁ!」


 息子と娘たちが、仲間を引き連れて襲撃に来たと察した康平は唾を飛ばして叫ぶ。


「あー、なんや。あんたがくだらんことを企んどるのは全部知ってるんよ。それに関しては裁くことは間違いないんやけど、今回は自分らやなくて彼が用事があるようやで」

「何を言っている! 彼だと!? 誰だ!?」






「私、ギャラクシー河童勇者ジャスティスメリーさん。今、あなたの後ろにいるの」





 背後から、ふっ、と息を吹きかけられ、康平は驚く。

 なにも気配を感じなかった。

 認識しても、そこに子供がいるとわかっても、その人物をきちんと把握できなかった。



「ひぃっ!? い、いつの間に! なんだ貴様は、この私を安倍家当主と知っての――」



 狼藉か、と叫ぼうとした康平だったが、言葉が出てこなかった。

 なぜなら、



「ギャラクシーマモンマモンカーニバルエスクプローションダイナマイトアカンコマシュウコタザワコ河童メリーさんパーンチ!」



 無駄に長い技名と共に、背後の少年に股間を蹴り上げられたからだ。



「――ぴよっ!?」



 変な声と共に衝撃が股間から脳に届き、康平は意識を失った。







 千手さん「……あのさぁ、その技名ってなんだ?」

 なっちゃん「その場のノリだよ! 適当に言ってるけど、きっと俺の魂が導き口から勝手に出てきてくれているんだと信じたい!」

 千手さん「ねーよ!」

 熊崎伍太郎さん「はわわわわわ、円の親父がおかんになっちまったぁ!」

 円さん「なにいうてんの!?」



 なっちゃんメモ:安倍康平。俗物。親としても最悪。あと弱い。


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― 新着の感想 ―
[一言] 蹴り上げたんやったら キーックなんとちゃうん?(円)
[一言] それパンチじゃなくてキックじゃね?w
[一言] 「東雲ぇ! まさか子に親が弓を引くというのか! そんなに私からすべてを奪いたいのかぁ!」 多分「子が親に」か「親に子が」のどちらかかと思われます。 投稿ペースが爆速なので多少の誤字は気に…
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