41「帰宅したらまずはうがい手洗いをじゃね?」①
「たっだいまー!」
「ただいまなんじゃー!」
夏樹と小梅は無事に由良家に帰ってきた。
帰宅途中、新たな神々や「帝国」に遭遇することもなく、ゆっくりとした時間を過ごせた。
「おう、おかえり。どんぱちやったみたいだな。とりあえず、手を洗ってうがいしてこい」
「はーい」
「はーい、なのじゃ」
台所から顔を出したサタンが手を振る。
夏樹と小梅はうがい手洗いをすると、茶の間に移動する。
サタンがテーブルの上に冷えた麦茶を用意してくれている。感謝の言葉を告げて一気に飲み干した。
「しみるぅううううううううう!」
「かーっ、たまらんのう!」
「麦茶くらい静かに飲めよ」
やれやれ、と肩を竦めたサタンがエプロンを外し、夏樹たちと向き合うように座った。
「死の神がきやがったようだが、どうなった?」
「俺がボコして、月読先生預かりになった」
「……お前、すげえな。よく死の神ボコせたな」
「河童大神様のご加護ゆえ」
「……ノーコメントにしておこう。それで、「帝国」だとかいう力を持つ人間たちも動いているようだったが、そっちはどうなった?」
「由良家に迎えにきた人たちは月読ファミリーに加入して、それ以外は死んじゃった!」
「ノリが軽いなぁ。それで「帝国」の連中は強かったか?」
「いやぁ、雑魚とは言わないけど強くはないかなぁ。ねえ、小梅ちゃん?」
「そうじゃのう。異世界で何かしらの経験をしているようじゃったが、己の強さを理解しとらんかったのう。まあ、それでも一番雑魚じゃったのは門の神じゃったのう」
「雑魚の中の雑魚だった。マジで雑魚だった」
うんうん、と頷く夏樹にサタンが顔を青くした。
「ちょ、もしかして、門の神を殺したの?」
「殺ちた!」
「まじかー。死の神の力があまりに強かったから他の神もきやがったなぁ、って思っていたけど、門の神も殺しちゃったのかぁ。――よく殺せたな!?」
サタンの中で、一番面倒臭い新たな神々が門の神だ。
その門の神を、二度も殺している夏樹に驚きを禁じ得ない。
「嫌だなぁ、サタンさんったら。あの雑魚、門を出すだけじゃん!」
「その門が面倒臭いんだけどなぁ!」
「あの雑魚、俺を空間に閉じ込めた挙句別世界の人間と戦わせやがったんだよ! 自分じゃ戦えないからって、他の世界の人を強制的に戦わせるとかサイテー!」
「それで、その異世界の方々はどうしたんだ?」
「殺したけど?」
「殺しちゃったんだ」
「そりゃ殺すよ! あいつら俺のこと邪悪って言ったんだよ! 邪悪って!」
「…………酷いよね」
「本当だよ! それに、どちらにせよ俺を殺すか、俺が殺すかしないと出られなかったから、恨むなら門の神にしてほしいよ」
「それはそうなんだがな。それで、異世界人は強かったか?」
「わかんない」
「わかんない!?」
「だって、星子さんと一緒に空間ごと消し飛ばしちゃったから」
「あー、そういう力技なのね。戦い方が勇者じゃないんだよなぁ」
サタンのぼやきに夏樹はドヤ顔をした。
「そりゃ、ギャラクシー河童勇者ですから! きりっ!」




