35「さすがにもうイベントはなくね?」①
「――はっ、俺はいったい! とてもつらいことを言われた気がしたんだけど、夢かな? うん、そうだよね! 河童大神様の使徒にして、河童さんの守護天使だもん!」
「河童の守護天使がどういう関係になるんかわからんのじゃが、しくしく泣き出したと思えばそのまま寝おって。夏樹は子供か!」
「子供だもーん! まだ未成年だもーん!」
「その割にはパソコンの中身は未成年が所持したらいかんもので覆い尽くされている気がするんじゃが」
「んぎゃぁああああああああああああああ!」
目覚めた夏樹は、小梅の心無い言葉に再び顔を覆って泣きはじめた。
「それはさておくとして、正門の神をはじめとした門の神の手下どもは月読ファミリーに加入するちゅう話で進めておいたんじゃ」
「お、さすが小梅ちゃん! 美脚!」
「まあのう!」
ドヤ顔をして胸を払う小梅に、夏樹もにっこり。
「でも、肝心な正門の神さんたちがいないんだけど」
部屋を見渡すと、フローリングに寝かされてうなされている千手を虎童子と七森康弘、一登と祐介が手を繋いで「かごめかごめ」しており、花子が何か祝詞のようなことを口にして拝んでいる。
いつも通りの光景だった。
「正門の神たちはとりあえず帰ったんじゃ。月詠ファミリーのトップが、死の神の取り調べ中らしいんじゃ。月読携帯に電話したら素盞嗚が出て、取り調べに必要なカツ丼を作っておるらしい」
「さすがスサスサ仕事が丁寧だね! 月読先生も、もう取り調べか。戦ってみて、死の神はあまり他の新たな神々に興味がないようだったから、敵対しなけりゃ問題ないと思うんだけどなぁ」
「月読的にはいろいろあるんじゃろう。特に、不死の神を追いかけておるようじゃし」
「不死の神ねぇ。今までそんな愉快な神にあったことはないんだけどなぁ」
「俺様もじゃ。じゃが、いるらしい」
「ツチノコと不死の神ってどっちが可能性ある?」
「うぐぐ……難しいのう。俺様的にはツチノコの方が可能性あると思うんじゃが」
「じゃあ、絶対いないよ、不死の神!」
「モスマンからチュパカブラまでおるんじゃから、ワンチャンツチノコはおるじゃろうて」
「モスマンさんたちを出されたら、いるかもしれないって思うけどさ!」
ツチノコがどの部類に入るのか悩ましいが、UMAが実在するのならツチノコもいるかもしれないと期待してしまう。
だからこそ、不死の神の存在が危うく感じる。
死の神の対のような存在が不死の神だと思えるのだが、どこか違うようにも考えてしまう。
神にも魔族も、それこそゴッドや魔王サタンにだって「死」は訪れる。
夏樹が召喚された異世界の神だって殺すことができたい。
もしも仮に、不死の神がいるというのなら、いつか死なない敵というのが現れる可能性だってある。
そんな時が来ないことを、夏樹はただ祈った。
「さてと。もうイベントもないだろうし、そろそろおやつの時間だし、お家にかえろう!」
「そうじゃな!」
夏樹と小梅は、謎の儀式をしている花子たちを置いて帰路についた。




