間話「マモン不在の青森じゃね?」①
――青森県某所。
「――――っ」
畑を耕していた愛の女神こと愛ちゃんは、何かを感じ取ったように顔を空に向けた。
太陽が燦々と輝く青空は眩しく、目を守るように手をかざす。
「……愛ちゃんも気づいたか?」
さまたんが鍬を振り下ろして、神妙な声を出した。
「ええ、そろそろ昼食の時間よね」
きりっ、と表情を引き締めた愛ちゃんにさまたんが叫んだ。
「ちっげーよ! 今、門の神が死んだじゃねえか! 完全に死んだぞ! また由良夏樹がやらかしたんだよ! なんで気にするのはお昼なの!?」
「ぶっちゃけ、門の神とかどうでもいいし。今頃、数多な神が万歳三唱していると思うんだけど」
「どれだけ嫌われているんだよ!」
さまたんは直接門の神に会ったことはない。
先代と次代が揃って夏樹に殺されていることが哀れと思う。
次代も、関わらなければよかったのにとしか考えられない。
「さまたんは関わりがないからいいのよ! あのスカした態度をとっているくせに、内心では俺が主人公だぜ、みたいなこと思っているのよ! イキって異世界でなっちゃんに殺されて、ふう、本体は無事だぜって余裕こいていたらちゃんと本体も切られてました、ざまぁあああああああああああああああああああああああ!」
「嫌われすぎだろ」
「次代もショタボーイ気取って先代より強いんだよムーブかましていたけどぉ、暗躍している自分かっこいいみたいな感じだったんですけどぉ、結局殺されてやんの! ざっまぁあああああああああああああああああああああああ!」
「だーかーらー、どんだけ嫌いなんだよ!」
やれやれ、とさまたんは嘆息する。
そういえば、愛ちゃん以外の愛の女神も、遊戯の神もみんな門の神を嫌っていたなと思い出す。
様々な思惑が織りなす新たな神々の中で、太陽の神の復活、古き神々と魔族を倒すことという絶対的な目的を掲げている仲間たちに、ここまで蛇蝎のごとく嫌われているのも凄いことだと思う。
「なんか私もお腹すいた。愛ちゃん、ご飯食べて気持ちを切り替えようぜ」
「そうね。あんなアホのこと思い出したから、やけ食いしたいわ」
「んじゃ、飯もそろそろできているだろうし、周平たちも呼ぶか」
さまたんたちが合流し、母屋に入るとスーツの上にふりふりのエプロンを身につけた三十ほどの容姿の整った男性が出迎えてくれた。
「ご飯の準備はできていますよ! あ、違った。ご飯の準備はできているであもんあもん!」
「いや、無理して語尾主張しなくていいから」
先日、マモンがいないことをいいことに押しかけてきたアモンがちゃっかりさまたんの家にいた。
――青森に帰ってきたマモンとさまたん家に居座ったアモンが激突するまでもう少し。




