25「祝福の神は疲れているんじゃね?」
新たな神々の一柱「祝福の神」は、行動を共にしていた「門の神」が完全に絶命したことを察知した。
「――門の神……あなたは焦りすぎた。由良夏樹は脅威ですが、もっとやりようがあった。不思議なことに、あなたたちは今を生き急ぐ。人間を相手にしているのだから、百年くらい予定を引き伸ばせばよかったのですよ」
祝福の神は隠れ家のひとつで大きく嘆息した。
新たな神々は、基本的に自由気ままに生きている。
それでも、力を持つ上位の存在はあえて群れ、「太陽の神」の開放を目的としている。
しかし、心から太陽の神を解放しようとしている神々はどれくらいいるのか疑問でしかない。
祝福の神も、太陽の神を解放するために長い時間をかけて行動をしているのだが、解放できなかったらできなかったで仕方がないと思っている。
対して面識のない神よりも、普段から行動を共にしている神々の方がよほど大事だ。
そんなことを思う祝福の神が太陽の神を解放するために行動しているのは――暇つぶしのためだ。
神々は、人間と違い、生きていくのに金を必要としない。
人の想いから生まれた神である以上、人のように生活することを幸せに思える。
人の中に混ざり、人として生きることもある。
だが、何年も同じことを繰り返していくと、飽きてしまう。
それ以上に、親しくなった人間が死んでしまうことが辛い。
祝福の神も、かつては人と共に生き、友人を作り、楽しい日々を送っていた。
しかし、人間は死んでしまう。
神も不死ではないが、寿命の差はあまりにも大きい。
友を何度も見送り、その度に涙を流し、人と関わるべきではなかったと後悔する。しかし、人が好きなのだ。愛してやまないのだ。
それゆえに人の社会で生活を続けた。
そんな折、とある神に声をかけられた。
新たな神々のトップである「太陽の神」を開放することで、神々が人間を支配する時代が来ると言われた。そうすれば、人間を寿命から開放だってできると言われ、心が疼いた。
当時、友を失ったばかりの祝福の神はその誘いに乗ってしまった。
しかし、数年たち、友の死を受け入れることができると、冷静になった。
仮に、太陽の神が復活し、世界を支配しても、支配された人間たちは祝福の神が心から愛した人間ではない。
そう思い、離反も考えたが、もう祝福の神は疲れてしまっていた。
人と共に生きることも。
太陽の神を復活させることも。
もうどうでもいい。
周りに合わせて、死ぬまでの間の暇つぶしにするだけだ。
「――それなりに門の神との時間は楽しかったんですがね。では、そろそろ私も動きましょう。この飽き飽きした日々を終わらせるために」




