21「その時、不思議なことが起こったんじゃね?」①
ざっと現れた敵は二十人。
誰も彼もファンタジー盛りだくさんの異世界からやってきました、と言わんばかりの出立ちをしている。
「ようやってくれたのぉ! 夏樹を封じたからと俺様たちが弱くなるわけがないんじゃがのう? おう、死の神。おどれもこっち側でええんじゃろう?」
「――無論。私は、あの子を救うためにお前たちの味方をすることが最善だと判断している」
「ええ判断じゃ。一応、聞いとくんじゃが、そこで調子乗っ取る門の神が仲間だからと殺すななんぞふざけたことを言うつもりはないじゃろうな?」
「あるはずがない。私はこいつらと馴れ合ったことなど一度もない」
「なら問題ないんじゃ! いくぞ!」
「――承知した」
小梅と死の神が門の神に向かい飛んだ。
「マジかよ、死の神。本当に僕たちを裏切るんだな!」
「もとよりお前たちの仲間になったことなど一度もない」
「なら粛清だ!」
「やってみればいい――死ね」
「おっと」
死の力に狙われた門の神は近くにいた異世界人を引っ張り己の前に持ってきて盾にした。
盾にされた人間は白目を剥き、絶命する。
「死の神の対策は意外と簡単だ。今まで絶対的な力で命を奪ってきた君は、一度で大勢を殺せない。いや、きっと殺せるんだろうけど、ある程度力を持った者をまとめて殺したことがないだろう? だから、こつこつ確実に殺すしかない」
「だからどうした? 私の死から逃れることができないことは変わらない。順番に殺していけばいいだけの話だ」
「ま、そうだろうけどね。こっちは、由良夏樹対策で馬鹿みたいに異世界人と契約してきたからさ。盾はたくさんあるんだよ!」
門の神が手を振ると、扉から飛び出た異世界人が小梅たちに殺到する。
最初の二十人以外にも次々に増えていく。
「私たちもいくわよ!」
「やれやれ、次は異世界人か」
花子が走り飛び蹴りをする。
千手はサングラスを外し、首を鳴らした。
「わたくしたちも!」
「いや、お前さんたちは後ろで控えていてくれ。お前さんたちを信用していないわけじゃないが、まだ一緒に戦うには早い。それに……あちらさんは強いぜ。ま、そういうことで頼むわ」
「し、しかし」
「まあ、気にしなさんな。どうせ時間の問題だ」
意気込むありすに千手が待ったをかけた。
ありすは納得できていないようだったが、千手の言葉を無視して戦うつもりはないようだ。
「ま、自衛だけしていてくれ」
そう言い残して千手も異世界人に立ち向かう。
ひとりを停止させ、膝に蹴りを入れてへし折った。
この場にわざわざ呼んでくるくらいなのだから、異世界人たちも相当の実力者だろう。
ならば念には念をいれて倒すだけだ。
(――どうせあっという間に由良が戻ってくるだろうから、それまでの時間稼ぎだ)
「ダーリンぅんんんんんんんんんんんんんんんっ!」
「加勢します!」
「人外っ子はいねえかぁああああああああああああああ!」
「千ちゃんっ! パパだよぉおおおおおおおおおおおお!」
虎童子と一登、そして祐介と康弘がどこからともなく倉庫に現れ異世界人と戦い出す。
「……加勢はありがてえ! とりあえずファンタジーな格好しているやつは門の神の配下だからみんなぶっ飛ばせ!」
「人外娘さんは!?」
「いねえよ!」
相変わらずな祐介にツッコミをいれるも、味方が増えたことが頼もしいと思う。
「やれやれ、鬼と人間が少し増えたところで何ができると――」
門の神が言葉の途中で硬直した。
千手たちも、異世界人も同じく固まった。
「――あ、ありえない」
夏樹を封じた門に亀裂が走った。
音を立てて罅が入っていく。
「何重にも強化したんだぞ! それを!」
信じられないと門の神が叫んだ。
「ふざけるな! ならばさらに強化を」
門から雷が迸る。
門の神が、今まさに壊れようとしている門に何かをするよりも早く、――轟音を立てて門が爆散した。




