18「死の神の事情じゃね?」③
「ありす、ええんか!?」
驚く面々を代表して小梅が尋ねると、ありすが頷く。
「構いません。しかし、ひとつ見返りが欲しいのです。わたくしたちを月読ファミリーの庇護下に入れていただきたく」
「そういえば、最初から仲間に入れて欲しいっちゅうお願いじゃったのう」
「はい。いろいろ想定外のことが起きてしまいましたが、由良夏樹様のお力を見たからこそ、どうか、わたくしたちを仲間にお加えください」
深々と頭を上げるありすに続き、多聞、キリエ、滝も習う。
素盞嗚尊は月読に「兄ちゃん、月読ファミリーってなに?」と尋ね「いつの間にできていた謎の組織です」と困惑気味の返事をもらい、笑いそうになって口を押さえていた。
「――ええじゃろう、夏樹?」
「うん? 俺は別にどっちでもいいよ。月読先生の手足として動くことができるのなら、いいんじゃない」
「待ってください待ってください、夏樹くん! 月読ファミリーも意味わかりませんが、別に手足として働ける誰かを募集したことなんてありませんからね!?」
「またまたぁ。月読先生が言わなくても、俺たちが察して動いてこその月読ファミリーじゃないですか! いずれ不死の神を捕まえて、本当に死ぬのか拷問するんでしょう?」
「私がいつそんなことを言いましたか! いえ、あの、わかっています、みたいな顔をして頷くのやめてもらっていいですか? 本当にそんなことしようなんて考えていませんからね!?」
わかっています、わかっています、と夏樹が月読にウインクすると、アイテムボックスから魔剣を引き抜き死の神に切先を向けた。
「ってことで、ありすさんが金じゃなくて医療そのものを提供してくれるってさ。だけど、ただいただきますなんてしないよなぁ?」
「……何が、目的だ?」
「てめえ、ふざけんじゃねえぞ。勝手に襲いかかってきたのはてめえなんだからな! 俺に負けた上に、助けてももらえるんだ。まず、言うことがあるんじゃねえのか?」
「…………申し訳なかった。何よりも、手を差し伸べてくれたことに感謝する」
「最初っからそう言えばいいんだよ。一応、釘を刺すが、お前はもう戦うな。殺すな。いいな?」
「ああ」
死の神は夏樹の言葉を受け入れた。
夏樹を殺そうとして返り討ちにあった以上、死の神に残されているのは服従という選択だけだ。
「あと多分、月読先生からいくつか質問があるだろうけど嘘偽りなく答えるように」
「……わかった」
「んじゃ、申し訳ないけど、ありすさんお願いできる?」
「かしこまりました。――多聞、手続きをお願いします」
「たもんたもん!」
しゅたっ、と多聞が跳躍し消えた。
花子が「――Japanese ninja!?」と驚いているが、多分違うと思う。
「――はあ、疲れた。どうして休日の午前中に全力バトルしなきゃいけないんだよ。もう、お腹いっぱいです、ごちそうさまでした」
夏樹は瓦礫の上に仰向けになった。




