52「卵かけご飯ってテンション上がらね?」①
連絡なく遅くに帰宅した夏樹は春子にこってりと絞られた。
よほど心配していたというのもあるのだろう。
母は夏樹をとにかく叱った。
そこで素直にごめんなさいと言えばよかったのに、夏樹は謝罪した後に「月読先生にガープがしつこくナンパしていたから助けに入ったんだけど、気づいたらこんな時間に」と余計なことを言ってさらに怒られることになった。
結果、夏樹は泣きながら卵かけご飯を食べている。
「なーんでおどれは月読とガープがナンパされていたっちゅー言い訳で春子ママをやり込めると思ったんじゃ?」
「……フィーリングです」
「……適当するぎるフィーリングのせいでえらい目に遭ったんじゃが。まあええ」
「サタンさん、おかわり!」
「俺様がいうのもあれじゃが、反省しとるか?」
「してるよ! でもさ、杏さんが門の神に過去に戻してやるなんてしつこいナンパされていたんだから、ギャラクシー河童勇者として許せなかったんだよ! しかも、あの野郎、河童さんと杏さんを蹴りやがったんだ! 本来なら、河童さんの怪我に対して相応の罰を与える予定だったのに、あの雑魚、俺の一振りで消し飛びやがった!」
「ナンパじゃしゃーないのう」
「しゃーないの!」
今は、母はお風呂に入っているのでこうして本当の事情を話すことができる。
夏樹から茶碗を受け取ったサタンは「くっ、落ち着け。もう慣れるんだ。いくら春子しゃんがお風呂に入っているとは言え、身体強化して聴力を……あ、駄目だ、目覚めちゃう、透視能力に目覚めちゃうぅぅううううううう!」と変な唸り声を出しているが、気にしないことにしている。いつものことだ。
まだ慣れていない星子と菜々子がゲームで対戦している最中、ドン引きして硬直していた。
「春子ママに余計な心配をかけないのは俺様も賛成じゃが。じゃからといって、他の心配をかけるのは良くないんじゃ」
「それはごめんなさい」
「春子ママがお風呂から出てきたらちゃんと謝るんじゃぞ」
「うん」
「次やったら、台所で新たな力に目覚めかけとるおっさんと一緒にお風呂できゃっきゃうふふ回じゃからな」
「なっちゃん本気で反省しました!」
「それでええんじゃ、いい子じゃ」
小梅が夏樹の頭を撫でた。
えへへ、と夏樹がはにかむ。
「ところで、千手から銀子に報告があったんじゃが。なんでも帝国なんぞ仰々しい名前の組織が現れたようじゃのう」
「うん。帝国なんていうかっこいい名前の組織が現れたんだ」
「…………ん?」
「…………え?」
「かっこええか、帝国って?」
「かっこよくない、帝国?」
小梅が硬直した。
しばらくして、ないわー、と首を横に振った。
「夏樹も男の子じゃから帝国とついただけで興奮するんはわかるが」
「小梅ちゃん? 言い方、言い方がとてもよくないよ?」
サタンへのドン引きから戻ってきて再びゲーム対戦を始めた星子と菜々子が「うわ、なんで単語で興奮するの? え、きも」と夏樹に引いていた。
「俺様的には帝国と付けるんじゃったら、何々帝国みたいな感じで名をつけた方がええのう。帝国だけじゃ安直じゃ」
「……つまり美脚帝国や河童帝国でもいいってことだよね?」
「良いもなにも俺様が決めるわけじゃないし、夏樹がええのならええんじゃが、美脚と河童しかおどれの頭の中に入っとらんのか!?」
「えっと、じゃあ、鏖殺帝国?」
「どこの蛮族じゃ!?」
「ば、馬鹿な、俺のセンスが」
「……常々思っておったんじゃが、おどれのセンスは悪すぎじゃ!」
はっきり言われた夏樹はショックで卵かけご飯のおかわりをやめた。
明けましておめでとうございます!
2026年も何卒よろしくお願いいたします!
皆様にとって本年がより良い年になりますようお祈りしております!
なっちゃんの大冒険を今後も何卒よろしくお願いいたします!
久しぶりにのほほん回です。
驚愕のホラーさんとの再会まであと少し。




