15「いろいろ疑問は残るけど昼休みが終わりじゃね?」
「でも驚いたわね。海の神、大地の神、炎の神、風の神が新たな神々扱いされていたのはしっているけれど、まさか旧い神だったなんて」
青春の神こと青春すみれは、海の神たちが神話の神々よりも古い神であることに驚きを隠せないようだった。
「ねえねえ、すみちゃん。海の神様って新たな神々の中に他にいないの?」
「いないわね。そもそも海とか、大地とか漠然と大きい存在を司る神なんて滅多にいないのよ」
「すみれちゃんは青春という漠然とした大きい概念を司っている気がするんだけど」
「私は学生の青春専門よ!」
「急に範囲が……あれ? でも青春って学生が大半じゃ」
「それでも分野的に限られるでしょう。私はあくまでも自分のことを青春の神だと思っているけど、本当にざっくりと分類分けされると愛の神なのよぇ」
「青春イコール恋愛だね!」
「そしてツインテール!」
「杏、そこはわかんないかな!」
正直、夏樹には神の分類分けはさっぱりだ。
(でも、新たな神々が人の想いから生まれたものに対して、海の神たちは初めから「いる」神なんだよな。これって大きな違いがある気がする)
海の神は海そのものだ。
大地の神も、炎の神も、風の神も同じように「そのもの」だ。
これは、新たな神々や、彼らが古き神と呼ぶ神々とも違う。
要は自然そのものなのだ。
便宜上、神を名乗っているだけなのだろうと思う。
もっと詳しく聞きたいことは山のようにあったが、わちゃわちゃしてしまったせいでなあなあとなっている。
また会うことがあれば、ゆっくり話を聞きたいものだと思う。
「ねえ、夏樹くん」
「うん?」
「海の神様たちがいろいろやばいのはなんとなくわかったんだけどさ。そのやばい神様に選ばれた祐介くんって――やばいんじゃない?」
「何言ってるんだよ、一登!」
「あ、ごめん。やばいって言うのは言いすぎたかもしれないね」
「祐介くんはいつだってやべーじゃん! 大地の神様とか関係ねえから! やべーのとやべーのが惹かれあって合体しただけだからぁ!」
「……それって」
「うん。なまらやべえ」
大切な友人にこんなことを思いたくないのだが、大地の神ももっと他に選択肢がなかったものかと切実に思う。
同時に、もし祐介が勇者に選ばれていなければ、辛い思いをしなかったのではないかとも思うのだ。
無論、その後に待っている幸せもあるのだが、友人としてもどかしく思えてならない。
「俺が気になるのは……夏樹くんや祐介くんみたいな勇者がどういう理由で選ばれたのかって思うよね。やばいのはわかるんだけど、こんなやばい人を勇者に選んで何をどうしようって言うのか……その後のことが気になるかな」
「……あれ? 今、俺のことやばいって言った?」
「言ったよ」
「…………」
「言ったよ!」
「……ひどい!」
考えるも、答えは出てこない。
「あ、そういえば、すみれさん」
「なによ?」
「海の神に聞き忘れちゃったんだけど、ツッコミの神っている?」
「いないわよ! そんな神! いえ、もしかしたら私たちの知らないところでツッコミへの想いから生まれた神がいるかもしれないけれど、少なくとも私は知らないわよ」
「……もしかして、千手さんはツッコミの神が選んだ勇者じゃなくて、ツッコミの神そのものに至るんじゃないのだろうか!」
「よくわかんないけど、その千手って人はあんたのことしばき倒していいと思うわ」




